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設計 セッケイ

デジタル大辞泉の解説

せっ‐けい【設計】

[名](スル)
建造物の工事、機械の製造などに際し、対象物の構造・材料・製作法などの計画を図面に表すこと。「ビルを設計する」
一般に、計画を立てること。また、その計画。「老後の生活を設計する」

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百科事典マイペディアの解説

設計【せっけい】

機械,建築物などの製作工事に当たって,要求される性能機能などに基づいて機構構造を定め,これに要する各部材料形状寸法,加工方法,工程などの計画を立てること。

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大辞林 第三版の解説

せっけい【設計】

( 名 ) スル
機械類の製作や建築・土木工事に際して、仕上がりの形や構造を図面などによって表すこと。 「家屋を和風に-する」 「今度の-なら決して高い予算じや御座いませんよ/酒中日記 独歩
人生や生活の計画を立てること。 「生活-」 〔ロプシャイト「英華字典」(1866~69年)に design の訳語として載る。日本では「数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書」(1889年)に載る〕

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

設計
せっけい

構造物の構造を、実際の生産に必要かつ十分な程度に決定し、その結果を設計図、仕様書、取扱い説明書などとして表現する営為をいう。「構造物」とは、狭義では機械、器具、装置、施設、プラントなどの工業製品であるが、広義には、任意の事物の構造を多少とも具体的に計画する営為はすべて設計とよばれうる(定年後の生活設計など)。「構造」には、形状、寸法、材質で表現される具体的構造だけでなく、その前提になるプロセス(すなわち物質、エネルギー、情報の流れ方)の構造が含まれる(例をあげると、化学装置の設計はプロセス設計と装置設計に区分される、航空機の設計は空気力学的設計と狭義の構造設計に区分される、計測制御系の設計はどこで何をどのように測定、制御するかの決定で始まる、など)。
 「実際の生産」には、かならず所定の納期があり、それ以内の完成、引き渡しが要求される。
 設計では「納期までに実際に生産できる程度に決定する」のが本格的な設計であるが、いきなり詳細設計に入るのでなく、初期設計あるいは基本設計から出発して反復法iteration(同一過程を修正しつつ反復し、しだいに最適点および細部に接近する方法)により最終設計に到達するのが常である。また、「実際の生産」も、いきなり生産に入ることは絶無で、まず価格見積り、注文主との交渉、環境アセスメント、材料手配、工程計画などから始まり、最終試運転、引渡しに至る各段階があり、これに対応して設計にも基本設計あるいは見積り用設計から始まる各種の段階がある。[石谷清幹]

設計の基準

(1)コスト重視 工業製品と芸術作品の境界は、不明確かつ流動的(とくに建築の場合)ではあるが存在する。一般に工業製品では機能が同等ならばコストの安いものが選好される。このために関係者が目前の利益追求に目がくらんで弊害を生ずることがあるが、コスト重視は、社会的生産が拡大再生産への寄与度により基本的に評価されることに由来し、その限りにおいて正当な態度である。社会的生産では、たとえば真・善・美も拡大再生産への寄与度という価値評価を経由しつつ評価されるし、また、たとえば由緒正しいメーカーの正統的製品も、新規参入者が新製法で同等以上の製品を低コストで供給し始めれば敗退せざるをえない。工業製品のコストは工作法や素材の時価などの影響も受けるが、基本的には設計段階で決まる。設計では反復法が常用され、それが直接的には公害防止、生産数量、重量、外注依存度などを基準にした最適化作業であっても、究極的には、かならずコストをめぐる最適化を含んでいる。
(2)安全重視 工業製品はすべて社会に受け入れられなければならないから、危険であってはならない。安全性は工作上の技量workmanshipや取扱いの巧拙にもよるが、設計によるところがきわめて大きい。したがって、設計には考え落ちがなく、所要の信頼度と安全性が得られるよう配慮されることが要求される。
(3)標準化への配慮 設計対象構造物の材料や部品に標準化されているものをできるだけ採用するとともに、設計対象物自体がなんらかの標準化系列の一部になるよう努める。
 以上コスト、安全と標準化について述べたが、この3点だけが設計の基準ではないことはいうまでもない。[石谷清幹]

設計の領域

設計で決めた材質なり形状寸法なりを実現するための生産の方法に関しては多くの選択肢が存在するが、その選択と実行は素材生産部門なり施工部門なりの責任である。設計に従って生産された構造物が、所定の品質、とくに安全に関する品質を保有していることの立証責任は、検査部門(メーカー側、ユーザー側、監督官庁側、またはこれら諸機関の協議なり法的強制なりによって立証を委託された第三者的検査機関)のものである。しかし、検査機関による検査ミスがあっても、製品が原因となって災害が発生した場合、最終責任をメーカーは免れえないとする判例が増えつつある。これはもちろんメーカー、とくにその設計部門に無限責任があるというのではない。
 設計においては、それに基づく原材料の購入から着工、完成品引き渡し、保証期間満了、寿命満了までのあらゆる作業(工作、運転、保全、修繕、防災、取扱者の訓練、寿命満了後の解体など)が当該構造物の構造と密接にかかわっているから、このあらゆる段階のあらゆる作業をいちおう視野に入れるだけでなく、必要に応じて関係者と協議してその意見を設計に反映させなければならない。とくに使用中の運転経験(そのなかでも故障経験)、最近の関連学術や社会情勢に通じていることが設計者には要請される。たとえば、定常運転時のみを考えた修理不能、立ち上がり不能、負荷変動対応不能な構造物設計は失敗である。もちろん使い捨てを前提とする場合はこの限りではないが、それなりの特別の配慮が要求される。しかし、失敗の経験に学びつつ設計者の力量が向上することも事実で、これはいかなる名医といえども誤診を免れえないのと似た状況にある。
 つまり、設計はあらゆる事態に対する配慮を内包していなければならない。逆に設計は、研究、開発、運転、修理、廃棄、標準化、省力化、防災、スケールアップなどの各プロセス中に重要な要素として含まれている。
 経験の示すところによれば、新技術においては、安全や信頼性にかかわる問題は、その当初にまったく予想しなかったところから発生しがちである。つまり、機械も施設も材料も、安全と信頼性に関する限り、使用実績が出るまでは本当のところは確定できない。このことは改良のために変更を加えた場合でさえ、変更したことが二次的な故障の原因となる多数の事例によって立証されている。たとえばボイラーでは、石炭焚(だ)きから重油焚き、さらにガス焚きに変えたとき、事故が多発している。このために、技術では過去の実績が著しく尊重され、空理空論では社会的信用が得られない。社会情勢も設計する側の事情も絶えず変化してやまない(エネルギー危機、景気変動、人口の年齢構成変化、新製品や新市場の出現、科学の進歩など)。したがって、対象技術はつねに変わらざるをえず、これに技術一般のますます急速な進歩が加わる。つまり、設計という営為にはつねに未知領域に挑戦せざるをえない必然性がある。この明白な矛盾を、経済的、安全的最適化という条件下で、有限の手持ち資源の投入によって解決することが、設計という営為の基本的な任務といってよい。[石谷清幹]

工学の独自領域としての設計理論

純粋自然科学が技術に応用されうることから、工学を応用科学の一領域とみなすことは正しいが、工学が独自領域をもたないとみるのは正しくない。自然法則、社会法則とも人間にとって既知であってもなくても機能する。たとえば、初期の鉄道車両設計者は、金属の疲労現象に関してほとんど無知であったから、車軸は繰り返し曲げ応力により頻繁に折損した。その場合、原因が明確にわからなくても、安全に使える車両を設計し、これを使いこなす方法がなければならない。材料力学的にはこれは、設計荷重の取り方(たとえば、旅客用航空機では重力加速度の2.5倍の加速度に耐えるよう設計する)と、許容応力の取り方(設計荷重が作用した場合に部材に発生する応力が材料の耐えうる値になるよう設計する)と、検査方法とに帰着し、その決め方は設計理論の根幹である。未知の法則にも適応する手法は、材料力学のみならず熱工学、電気工学などのあらゆる領域に浸透しているが、それらはすべて設計上必要であり、したがって設計理論を工学の独自領域の一つに数えることができる。大学工学部の教育で設計学が重視されているゆえんである。そのような設計理論は多くの場合、多分に経験的で完成化されていないが、工学の各分野に共通の設計理論としては、相似則と規模法則をあげることができる。相似則とは、既知の系における寸法、形状、温度条件などが変動する場合の系の挙動を示す法則の意味である。規模法則とは、規模と方式との間に存在する法則の意味である。
 これらが工学法則として機能できるのは、工業技術においては全要素がまったく未知な技術は登場しえないことによる。電子の発見の歴史をたどれば、電子も一連の科学史上の事件の連続として登場してきたことは明らかである。宇宙開発においても、まず観測機器だけを打ち上げ、ついで下等生物、イヌ、サルなどを軌道に乗せ、回収技術を改良し、そのうえで特別に訓練された宇宙飛行士を乗せて打ち上げている。つまり、各段階ごとに新しい要素を投入するが、まったく新しい部分を人知の制御可能範囲にとどめるための手法がいくつかあり、それを要約すると相似則と規模法則とに帰着する。
 かつてヒンデンブルク号の惨事でとどめをさされた硬式飛行船、第二次世界大戦以降では一時大歓迎されながら1970年代になってついに公害のため製造禁止になったBHCやPCBのように、相似則や規模法則の適用を誤った例は多い。しかしこれら失敗例は、工学における独自理論の未完成を意味するものであり、不存在を意味するものではない。設計理論の意図的建設に成功した先駆者には、造船学のフルードWilliam Froude(1810―79)、工業熱力学のランキンをはじめ多数ある。設計の一般的理論としての相似則と規模法則の工学的研究、さらには、これよりも一歩立ち入った技術の内的発達法則の研究も、着実に進展しつつある。[石谷清幹]
『渡辺茂著『岩波講座基礎工学10-3 設計論』(1970・岩波書店) ▽渡辺利雄著『設計の基礎と図面の見方』(1971・ダイヤモンド社) ▽北郷薫編『設計工学シリーズ1 設計工学基礎』(1972・丸善) ▽佐野暢紀著『建築計画――設計計画の基礎と応用』(1991・彰国社) ▽稲城正高・米山猛著『設計者に必要な加工の基礎知識――これだけは知っておきたい機械加工の常識』(1996・日刊工業新聞社) ▽中島尚正ほか著『機械系基礎工学1 機械設計学』(1998・朝倉書店) ▽中島尚正著『岩波講座現代工学の基礎 設計系1 人工物の構造と特性』 ▽富山哲男著『岩波講座現代工学の基礎 設計系2 設計の理論』 ▽畑村洋太郎著『岩波講座現代工学の基礎 設計系3 設計の方法論』 ▽広瀬通孝著『岩波講座現代工学の基礎 設計系4 システムの構造と特性』 ▽鈴木篤之・元田浩著『岩波講座現代工学の基礎 設計系5 システムの設計・運用・評価』(以上2000~02・岩波書店) ▽山川宏編『最適設計ハンドブック――基礎・戦略・応用』(2003・朝倉書店)』

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