日本大百科全書(ニッポニカ) 「故事新編」の意味・わかりやすい解説 故事新編こじしんぺん 中国の作家魯迅(ろじん/ルーシュン)の第五の、つまり最後の創作集。1936年1月上海(シャンハイ)生活文化出版社初版。22~35年の13年間にわたって執筆された、いずれも中国古代の神話や伝説に題材をとった8編の小説と「序言」とを収める。歴史小説という面と同時に現代社会への風刺という側面も強い。西欧近代精神との出会いを契機とする民族文化へのトータルな批判と同時に、新しい理想の中国人像を古典のなかから造型しようとした意図も読み取ることができ、思想的にも方法的にも興味深い作品群といえよう。[伊藤虎丸]『竹内好訳『故事新編』(岩波文庫)』 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例