敬虔派(読み)けいけんは(その他表記)Pietism

翻訳|Pietism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「敬虔派」の意味・わかりやすい解説

敬虔派
けいけんは
Pietism

敬虔の実践を重視するプロテスタント宗派。この語は,A.フランケがつくった聖書集会 collegia biblicaに関するライプチヒ大学での論争 (1689) で,相手側がそしるために用いたものである。敬虔派運動自体は 17世紀初頭のイギリスにすでにあり,したがって,イギリス,オランダ,ドイツ南西部での宗教改革上の敬虔主義と,ドイツに限られるルター派の敬虔派とは明確に区別されねばならない。この派の主唱者と目され,敬虔主義の綱領ともいうべき『敬虔な願望』 Pia desideria (75) を出し,敬虔集会 collegia pietatisを創立し,この派では最も保守的な P.シュペーナーや,初めは彼のもとにいたが,その行動への姿勢から袂を分ったフランケ,神秘主義的傾向が強く,モラビア兄弟団をつくった N.ツィンツェンドルフ,急進的な G.アルノルトらがそれぞれ流れをつくっている。その教理思想の軽視,宗教体験,実践の重視は,行過ぎて一般の人に広がるまでにはいたらなかったが,精神主義と個人主義は,カント,F.シュライエルマッハーらに深い影響を与えた。

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