日ざかり(読み)ひざかり(その他表記)The Heat of the Day

日本大百科全書(ニッポニカ) 「日ざかり」の意味・わかりやすい解説

日ざかり
ひざかり
The Heat of the Day

イギリスの女流作家E・ボーエン長編小説。1949年刊。若くして離婚し、第二次世界大戦下、ひとり息子を入隊させ、一人ロンドンに住むステラ・ロドニーは、退役将校ロバート・ケルニーと親交を結ぶ。一方ハリスンは反戦運動家ロバートの軍機漏洩(ろうえい)を追い彼女に近づく。逃げようとしてロバートは屋根から墜落して死ぬ。インドで従軍中の夫の留守、生きる指針を見失っていた若いルーイは、ステラに触発され自己の殻を脱する。個人の心情暗がりを強烈に照らし出す、戦時下の情況描写が特異な作品である。

[佐野 晃]

『吉田健一訳『日ざかり』(1952・新潮社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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