日野椀(読み)ひのわん

精選版 日本国語大辞典 「日野椀」の意味・読み・例文・類語

ひの‐わん【日野椀】

  1. 〘 名詞 〙 近江国日野(滋賀県蒲生郡日野町)に産した漆塗りの椀。日野の仁正寺で産出したといわれる。日野商人の主要な商品となり、明暦年間(一六五五‐五八)には塗師二〇〇軒を数えたという。
    1. [初出の実例]「日野椀(ヒノワン)壺皿」(出典:俳諧・本朝文選(1706)五・紀行類・南行紀〈李由・<著者>許六〉)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の日野椀の言及

【漆絵】より

…また中世までの漆絵は朱やべんがら一色だが,近世になると色彩豊かな明製の漆器や流行し始めた密陀絵の影響で,彩漆の漆絵が創作される。一方,中世からの漆絵椀の伝統は新たに勃興した漆器産地に受け継がれ,滋賀の南部椀,会津椀,吉野椀,滋賀の日野椀や朽木盆,山口の大内椀など,特徴ある食器類が生産された。明治時代には柴田是真などが漆絵を芸術的に高めた。…

【椀】より

…吉野絵,吉野彫,吉野根来,吉野春慶など),黒江塗(和歌山県海南市の産),大内塗(山口県山口市の産。大内椀は毛利家に伝えられ,漆絵に金箔を施す),日野椀(滋賀県蒲生郡の産)などが良質な椀として知られている。熟練した木地師や塗師の手により,大量に作られたこれらの椀は,材料が吟味され,軽量でしかも堅牢に仕上げられ,機能的にもすぐれた器形をもっていた。…

※「日野椀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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