旧円覚寺庭園(読み)きゅうえんかくじていえん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「旧円覚寺庭園」の意味・わかりやすい解説

旧円覚寺庭園
きゅうえんかくじていえん

沖縄県那覇市首里(しゅり)にある庭園。円覚寺は1492年(尚真16)に創建された琉球(りゅうきゅう)第一の寺院で、第二尚王家(尚円王統。1470~1872)の菩提寺(ぼだいじ)である。寺域は3000平方メートル余りあり、禅宗の七堂伽藍(がらん)が備わり、建築は鎌倉の円覚(えんがく)寺を模したものといわれていたが、単なる模倣ではなく、琉球独自の技術もみられ、第二次世界大戦前は国宝であった。太平洋戦争ですべて失われ、総門と放生橋(ほうじょうばし)は戦後復原されたものである。現存庭園は泮池(はんち)意匠の庭園で、これは聖域を意味する意匠である。

 沖縄には、やはり首里の仲里朝之(なかさとともゆき)邸に鶴石組(つるいわぐみ)と須弥山(しゅみせん)石組を兼用したみごとな庭園があり、島尻(しまじり)郡久米島(くめじま)町の喜久村潔輝(きくむらけいき)邸の庭園も枯山水の優れたものである。さらに石垣市の石垣長夫邸や、同市の宮良殿内(みやらどんち)邸には、築山(つきやま)や豪壮な枯滝のある枯山水があって、いずれも江戸末期の作でありながら、意匠や手法は、一呼吸置いて伝わったためか江戸初期風である。

[重森完途]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例