山川 日本史小辞典 改訂新版 「旧石器文化」の解説
旧石器文化
きゅうせっきぶんか
イギリスのJ.ラボックが命名した旧石器時代の文化をいう。前・中・後期の3期に区分される。約200万年前から1万年前まで続き,考古学的には土器が出現する以前の時代。この文化の荷担者は人類学上では猿人・原人・旧人・新人の順に交替する。地質学上は更新世に属し,絶滅動物が多い。代表的遺物は石器で,石核(せっかく)石器・剥片(はくへん)石器・石刃(せきじん)石器がある。石器とともに出土する化石人骨や化石動物と一緒に研究されるのがふつうだが,日本では化石人骨と石器が伴出した例はなく,化石動物がともなった例も乏しいため,旧石器文化研究は主として石器によって行われている。炭素年代測定によると岩宿(いわじゅく)下層以後の文化の上限は約3万年前とされており,これ以前を前期旧石器,以後を後期旧石器とよぶことがある。日本の前期旧石器文化がどこまでさかのぼるか,どのような変遷をたどったかは今後の研究課題である。後期旧石器文化は,広域火山灰を鍵層とする編年によると,ナイフ形石器以前,ナイフ形石器,ナイフ形石器以後の3段階に区分される。日本では1万2000年前頃(炭素年代)から細石器や土器が使用され始め,世界史的にいえば中石器時代的様相をおびる。最近は日本の旧石器文化を岩宿文化とよぶこともある。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報