細石器(読み)さいせっき

日本大百科全書(ニッポニカ)「細石器」の解説

細石器
さいせっき

ミクロリスmicrolithともよばれる小さな石器。幅1センチメートル、長さ5センチメートル以下ぐらいのきわめて小さな石器であり、単独で使用するものではなく、木や骨の柄(え)にはめ込んで使われた。小さいためきわめて軽く、また一定の石材からもっとも長いを得ることができる。先史時代にあっては良質の石材は限られており、そのためもっとも能率のよい方向へと石器製作の技術は発展していった。その方向の頂点にあるのが細石器である。後期旧石器時代末期から中石器時代にかけてもっとも盛行し、新旧両大陸ともにみられる。このように世界的にみられるので、その形態、あり方はさまざまである。世界的にみた場合には、小さな石刃(せきじん)の形をあまり変えずに使っている例が多いが、ヨーロッパ、西アジア、北アフリカといった環地中海地域には、長方形台形、三形、半円形といった幾何学形をしたものもある。これらは幾何学形細石器とよばれる。

藤本 強]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「細石器」の解説

細石器
さいせっき
microlith

長さ数 cm,幅 1cm前後の小型の石器。なかには長さが 1cmに満たないものもある。後期旧石器時代末に現れ,ことに中石器時代に盛行した。不定形な石器もみられるが,幾何学形細石器と呼ばれるものは,長方形,三角形,台形,半月形を呈している。これらは主としてアフラシア大陸西部に分布する。個々の石器は単独で用いられるものではなく,木または骨の柄の片側あるいは両側に刻まれたへ数個ないし十数個がはめこまれ,ナイフ,あるいはとして使用された。刃部が損傷すれば,その部分だけをはめ替えればよい。

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百科事典マイペディア「細石器」の解説

細石器【さいせっき】

細長い石刃(せきじん)を割った剥片(はくへん)の片面に加工した長さ2〜3cm大の微細な石器。三角形,三日月形,台形などのものがある。多くは数個を木や骨に付けて銛(もり),ナイフ,釣針,彫器などとして使用された。中石器時代の代表的遺物で,旧石器時代末や新石器時代にも若干みられる。日本では後期旧石器時代末ごろに使用され,列島各地から出土する。
→関連項目アジール文化カプサ文化沙苑文化タルドノア文化ナトゥフ文化剥片石器マリタ

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旺文社世界史事典 三訂版「細石器」の解説

細石器
さいせっき

旧石器時代後期から中石器時代に発達した石器
2〜3㎝の鋭利な剝片 (はくへん) を加工して作った。鏃 (やじり) ・銛 (もり) ・鎌 (かま) などに使用され,狩猟漁労・採集技術の進歩を示す。乾燥地帯の遊牧民族では新石器時代にはいっても広く用いられた。

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精選版 日本国語大辞典「細石器」の解説

さい‐せっき ‥セキキ【細石器】

〘名〙 広義には後期旧石器時代の細小石器。狭義には中石器時代の石刃(せきじん)石器で、木や骨などのにはめこんで使われた細かい石器。日本の先土器時代には各地でつくられたが縄文時代には見られない。マイクロリス。ミクロリス。

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旺文社日本史事典 三訂版「細石器」の解説

細石器
さいせっき

旧石器時代最終期の小型の石器
小型の刃器を骨・木・角などに刻まれた溝に数個をはめこんで,組合せ道具の刃に使用された。

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世界大百科事典 第2版「細石器」の解説

さいせっき【細石器 microlith】

小型の,あるいは細かい石器を意味し,石器の形状の特徴から生まれた名称。フランスのフェラン・タルドノア遺跡(1879)やマス・ダジール洞窟(1887)の調査でこの種の石器の存在が知られた。日本で細石器と訳され,学史に現れるのは昭和の初めころからである。世界史的にみて細石器が製作・使用された時代はおよそ1万年前ころである。地域により年代,文化編年に多少の違いはあるが,旧石器時代の末期から新石器時代の初めにかけて(その中間に中石器時代を置くことがある)の時代を示標する石器の一つである。

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世界大百科事典内の細石器の言及

【中石器時代】より

…しかし,ヨーロッパの中でも,中石器時代という用語があまり使用されず,農耕文化出現以前の最終末旧石器時代ということで続旧石器時代Epipalaeolithicの語が使われる地域もある。 ヨーロッパにおける中石器時代は,きわめて小型の石器,すなわち細石器によって特徴づけられる。この細石器自体は,後期旧石器時代にすでに存在しているが,中石器時代にはとくに優勢となる。…

※「細石器」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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