国指定史跡ガイド 「旧萩藩御船倉」の解説
きゅうはぎはんおふなぐら【旧萩藩御船倉】
山口県萩市東浜崎町にある船倉。長州藩(萩藩)主の御座船を格納した場所。1608年(慶長13)の萩城築城後、間もなく建てられたとされる。享保年間(1716~35年)作成の『萩城下町絵図』には3棟、天保年間(1830~43年)作の『八江(やえ)萩名所図画』には4棟の船倉が描かれているが、北側の1棟と南側の1棟は取り壊され、現在残っているのは1棟のみである。船倉は、両側と奥は玄武岩で壁を築き、それを切り妻造りの屋根がおおっている。大きさは、桁行26.9m、梁間8.8m、高さ8.8m、石壁の厚さは6mである。明治以降に埋め立てられ河岸から離れたが、往時は松本川に面して船が自由に出入りできる場所であった。屋根を葺いた旧藩時代の船倉としては全国唯一の遺構で、1936年(昭和11)に国の史跡に指定され、1985年(昭和60)に追加指定された。この辺りには旧萩藩御船倉を含め40以上の江戸時代の建造物が現存し、2001年(平成13)に浜崎地区として重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。JR山陰本線萩駅からコミュニティバス「御船倉入口」下車、徒歩約3分。