日本大百科全書(ニッポニカ) 「旧赤色砂岩層」の意味・わかりやすい解説
旧赤色砂岩層
きゅうせきしょくさがんそう
イギリスやスカンジナビア半島などの北西ヨーロッパに分布する代表的なデボン系の厚い陸成層。主として赤色の砂岩、礫(れき)岩、頁(けつ)岩からなり、一部海成層を挟む。カレドニア造山運動によって生じた古ヨーロッパ大陸で形成された。旧赤色砂岩層はイギリスでは顕著な不整合によって下部と上部に二分される。このことは、カレドニア造山帯における褶曲(しゅうきょく)作用が古生代シルル紀以前のものだけでなく、デボン紀中期にもあったことを示している。イングランドでは下部赤色砂岩層は海成シルル系を整合に覆う。また上部赤色砂岩層はシルル系を顕著な傾斜不整合で覆うことがスコットランドなどで知られている。
旧赤色砂岩層は甲冑(かっちゅう)魚などの魚類化石を豊富に産し、デボン系を細分するのに役だっている。同様のデボン系赤色砂岩層は北アメリカ大西洋岸にも分布しており、このことは、大西洋が開く前にヨーロッパと北アメリカとがつながっていたことの証拠とされている。
[村田明広]