明烏(落語)(読み)あけがらす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「明烏(落語)」の意味・わかりやすい解説

明烏(落語)
あけがらす

落語。廓噺(くるわばなし)の代表作。日向(ひゅうが)屋半兵衛のせがれ時次郎は、あまりにもまじめすぎるので父親が心配していた。ある日源兵衛と多助が、観音様の裏の稲荷(いなり)にお籠(こも)りに行こうと時次郎を誘いにきたので、半兵衛はせがれに金を持たせて出してやった。吉原とは知らずについて行った時次郎は、登楼してから女郎屋とわかり、あわてて帰るといいだしたので、源兵衛と多助は、3人で大門をくぐったものが1人だけ帰ると大門の番所で止められて縛られると脅かした。あきらめて泊まった時次郎の相方(あいかた)は18歳で美人の浦里(うらざと)。翌朝、相方にふられた源兵衛と多助が時次郎を起こしに行くと、時次郎はなかなか起きてこない。2人が帰るというと時次郎が「あなたがた、先に帰れるものなら帰ってごらんなさい。大門で止められる」。

 この噺は、新内『明烏夢泡雪(ゆめのあわゆき)』、人情噺『明烏後正夢(のちのまさゆめ)』の発端を一席物にまとめて落ち(サゲ)をつけたもので、8代目桂文楽(かつらぶんらく)が練り上げた。

[関山和夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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