デジタル大辞泉 「稲荷」の意味・読み・例文・類語 いなり【稲▽荷】 《「いななり(稲生)」の音変化という》1 五穀をつかさどる食物の神、倉稲魂神うかのみたまのかみのこと。また、倉稲魂神を祭った、稲荷神社。2 《倉稲魂神の異称である御食津神みけつかみと、三狐神みけつかみとを結びつけて、稲荷神の使いと信じたところから》狐きつねの異称。→御食津神3 《狐の好物とされたところから》油揚げ。4 「稲荷鮨いなりずし」の略。[類語]神社・社やしろ・宮みや・神殿・神廟しんびょう・社殿・廟宇びょうう・神宮・鎮守ちんじゅ・祠ほこら・大社・八幡・本社・摂社・末社・祠堂 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「稲荷」の意味・読み・例文・類語 いなり【稲荷】 [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 「稲生(いななり)」の転という )① 五穀を司る神として信仰された宇賀御魂命(うかのみたまのみこと)のこと。おきながみ。[初出の実例]「稲荷、稲成之訓、五穀の神也」(出典:秦山集(1728))② 狐の異名。宇賀御魂命の別称の御饌津神(みけつかみ)を三狐神と書き誤ったこと、稲荷の本地、荼枳尼天(だきにてん)が狐霊の夜叉(やしゃ)であるとされたこと、また狐に対する民間信仰などが結びつき、狐が稲荷明神の使いと信じられるようになったことによる。[初出の実例]「こらへてゐる瓜をくらへどいなり様」(出典:雑俳・軽口頓作(1709))③ 油揚げの異名。油揚げは狐の好物として稲荷の供物に供える風習がおこったところからいう。〔日本隠語集(1892)〕④ 「いなりずし(稲荷鮨)」の略。[初出の実例]「ゐなりの二つづめでは、おなかがさびしうなって」(出典:評判記・役者口三味線(1699)京)⑤ 「いなりまち(稲荷町)[ 一 ]②」の略。[初出の実例]「もふせんで死のを稲荷ねがふなり」(出典:雑俳・柳多留‐三二(1805))⑥ ( 稲荷社に立て並べた旗に似るところから ) 旅芸人が町回りをするときに立てる細長い旗。⑦ 油揚げを入れたうどん。きつねうどん。うどん屋の隠語。[初出の実例]「あぶらげ入をいなり、きつね」(出典:商業符牒袖宝(1884)うどんや)[ 2 ][ 一 ] 稲荷神社のこと。京都市伏見区深草にある伏見稲荷大社を総本社として全国に末社四万を数えるという。古くは単に稲荷といえば総本社をさすことが多かった。[初出の実例]「いなりに思ひおこしてまうでたるに」(出典:枕草子(10C終)一五八)[ 二 ] 謡曲。四番目物。廃曲。作者不詳。別名「和泉式部」。稲荷山に詣でた和泉式部を見て恋に陥った男の霊が娘の小式部に憑く。稲荷の補助注記( [ 一 ]について ) ①は、もと山城(京都)の帰化豪族、秦氏がまつる神であったが、平安遷都以後真言密教と習合し、荼枳尼天(だきにてん)をもって稲荷の神体とするに至り、これを伏見の稲荷山にまつって、稲荷権現と称した。のちに巫女(みこ)、術者などによる予言、占い、祈祷などが盛んに行なわれ、江戸時代には種々の稲荷信仰が流行した。 とう‐かタウ‥【稲荷】 〘 名詞 〙 ( 「稲荷(いなり)」の音読み )① 稲荷の神。[初出の実例]「歌に、あさやまはやま羽黒の権現をかまのかみさま当家は稲荷(トフカ)の大明神」(出典:新聞雑誌‐三四号・明治五年(1872)三月)② 狐の異名。[初出の実例]「世俗きつねを稲荷(いなり)の神使なりといふ、故に稲荷の二字を音にとなへて稲荷(トウカ)と称するなるべし」(出典:物類称呼(1775)二) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by
日本大百科全書(ニッポニカ) 「稲荷」の意味・わかりやすい解説 稲荷いなり 京都市伏見(ふしみ)区の東山(ひがしやま)山地南端の地区。渡来人秦(はた)氏が711年(和銅4)に創始したという伏見稲荷大社の鳥居前町である。五穀豊穣(ほうじょう)から商売繁盛の神としての信仰が広がり、正月と2月の初午(はつうま)には数十万の参詣(さんけい)客でにぎわう。素朴な伏見人形は全国の土人形の源流とされる。JR奈良線、京阪電鉄京阪本線が通じる。[織田武雄][参照項目] | 秦氏 | 伏見稲荷大社 | 伏見人形 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例 Sponserd by