知恵蔵 「星奈津美」の解説
星奈津美
早稲田大学水泳部及び、スウィン大教スイミングスクールに所属。水泳の世界に踏み出したのは、ベビースイミング教室。バタフライを始めたのは小学校1年生のとき、今や世界のトップに並ぶ星だが、中学校時代の最高は全国大会4位、表彰台にも上れなかったという。星の才能が花開くのは高校時代。春日部共栄高校進学後は、200メートルバタフライでインターハイを連覇し、08年の日本選手権では高校新記録を打ち立て2位を獲得、無名の高校生ながら北京オリンピック代表に選ばれた。北京では、「オリンピックのプレッシャーや緊張感」に対応できず、自分のレースができずに終わったとしている。
16歳の時にバセドー病を発症。心臓に負担がかかることから泳げない期間を経験。投薬治療を継続し、現在は甲状腺ホルモンの数値が安定して「泳げる幸せを感じている」という。国際級の選手に適用されるトップアスリート入試で早稲田大学に入学し、その後日本学生選手権(インカレ)200メートルバタフライを3連覇。11年上海で開催された世界選手権では、わずか0.01秒差でメダルを逸した。この結果をばねに高地トレーニングに果敢に取り組み、新記録達成で2度目のオリンピック代表に選ばれた。ロンドン・オリンピックでも最後の折り返しの後で見せつけた後半の強い粘りと、小さな体に似合わない馬力のあるダイナミックな泳ぎに定評がある。
星を含めて日本選手の水泳のメダルは11個(8月4日現在)。戦後最多だったアテネ大会と同じ8個の獲得が当初の目標だったが、結果はそれをはるかに超えて、史上最多の1932年ロサンゼルス大会における12個に迫る勢いだった。
(金谷俊秀 ライター / 2012年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報