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印僑 いんきょう

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知恵蔵2015の解説

印僑

インドから世界に移住したり、海外でビジネスを展開しているインド系の人々。全世界110カ国以上に約2000万人以上いるとされる。英語ではNRI(Non Residential Indians=非居住インド人)などと呼ばれる。英国が19世紀半ばに奴隷制を廃止して以降、アフリカカリブ海諸島、東南アジアなどのプランテーション労働にインド人が契約労働者として送られたのが、インド人海外移住の第1波とされる。第2波は、1965年の米移民法改正などで移住しやすくなった米国など先進国に知識人や実業家がより良い稼ぎと生活を求めて出た動きだ。第3波は、現在起きているIT技術者や多国籍企業に勤めるホワイトカラーなどの動きを指す。インド経済の発展に伴い、海外からの投資や技術移転を進めるうえで重要な担い手としても期待されている。インド政府は毎年、在外インド人ニューデリーに集めた会議を開き、母国への協力機運を盛り上げるとともに、二重国籍を認める法改正を進めて「里帰り投資」などをしやすくする環境作りをしている。世界的な有名企業のトップに就くなど実業家として成功した人は多い。米国では、インド国籍のまま在住している人も含めれば約250万人いるとされ、アジア系移民で最も所得が高く、存在感が大きい。政治献金力もあり、印米関係の改善に影響力を与えている。海外に住むインド系の人々の総資産は4000億ドル前後とも試算され、11億人が住むインド本国のGDPにも迫る金額だ。インドへの送金は年に数百億ドルにも達する。

(竹内幸史 朝日新聞記者 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

いん‐きょう〔‐ケウ〕【印×僑】

海外に移住したインド人およびその子孫の日本での呼称。中国系移民を華僑と呼ぶのに対して用いられる。在外インド人およびインド系移民のこと。

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百科事典マイペディアの解説

印僑【いんきょう】

英語でNon Resident Indiansといい,略称NRI。インド系の移民とその子孫をさす。世界各地に1270万人(1987年)が居住,その52%がアジア地域に集中。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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世界大百科事典 第2版の解説

いんきょう【印僑 Overseas Indians】

インド系移民のこと。一般に近代以降にインドから諸外国に移住した集団を指すが,国籍のいかんにかかわらず,言語,宗教,血縁などによってインド人としての帰属意識を維持している集団およびその成員を指す。中国系(華僑),ユダヤ系,アルメニア系移民とともに四大移民集団の一つ。その総人口は1050万(1979年,インド外務省調べ)にのぼる。そのうち11%はスリランカ,10%はマレーシア,12%はトリニダード・トバゴスリナムガイアナなど中南米,15%はアフリカ諸国,その他フィジーモーリシャスイギリスアメリカカナダに,そして近年には中東諸国にも居住している。

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大辞林 第三版の解説

いんきょう【印僑】

海外に移住したインド人とその子孫。旧イギリス植民地・イギリス連邦諸国に多い。

出典|三省堂
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

印僑
いんきょう

南アジア系移民」のページをご覧ください。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

印僑
いんきょう

インド本国外に居住(定住)するインド系移民(在外インド人)。19世紀以降のインド系移民には、その名称・統計・概念に複雑な要素が絡む。[重松伸司]

名称

「印僑」という名称についてであるが、数世代にわたって定住する中国系移民の末裔(まつえい)は、第一世代の華僑とは区別して華人、中国系○○人とよばれるのに対して、インド系移民に関しては、一時的滞在(僑つまり仮寓(かぐう))のインド系移民だけでなく、数世代に及ぶ定住移民についてそれを表す適切な邦語名称はなく、一時滞在・長期定住を問わず「印僑」と通称されてきた。また、英領植民地時代の移民には、今日のインドのみならず、ネパール、バングラデシュ、パキスタンなど南アジア各地の移民も含まれていた。英領時代および独立後の移民を含めて、OSA(Overseas South Asians、在外南アジア人)、OI(Overseas Indians、在外インド人)などの表記が使われているが、両者の概念に大きな違いはない。1980年代以降、インド政府はインド国籍保持者も含めた在外定住のインド系エリート層を新たにNRI(Non-Resident Indians、在外インド人)とよんでいる。1990年代には、PIO(Persons of Indian Origin、インド出自の人々)やIndians Diaspora(離散インド人)という名称も使われている。このように、日本ではひと口に印僑とよばれるが、英語ではさまざまな呼称が使われている。今日の状況からみて、「在外インド人」という呼称が妥当であろう。[重松伸司]

インド系移民の総数と国際分布

1980~1990年代のインド系移民の総数は、全世界で800万~1600万人と統計により開きがあるが、南アジア(ネパール、スリランカ)への移民を除けば、統計資料の多くはほぼ1000万人と算定している。移民統計には、インド下院議会外交委員会報告(1981)の公的な推計のほかに、年鑑、タタ研究所(インドの代表的な財閥であるタタ・グループのシンク・タンク)など民間統計機関や経済情報誌、国際機関による推算、そしてインド系住民を擁する各国の人口センサス(調査)に表れたインド系住民の統計がある。各統計資料ごとに「インド系」「移民」の規定根拠や統計の抽出時期、典拠などが異なるためその総数にはばらつきがあり、一桁の人数まで算出することは不可能である。
 インド外務省の推計(1980~1982議会報告書)によれば、移民の分布は、東南アジア (マレーシア、シンガポールなど)に総数の約20%、アフリカ(南アフリカ共和国、モーリシャスなど)に約16%、中・南米(トリニダード・トバゴ、ガイアナ、スリナムなど)に約11%、ヨーロッパ(イギリス、オランダなど)に約17%、オセアニア(フィジー、オーストラリアなど)に約11%、西アジア(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、オマーン、クウェートなど)に15%、北米(アメリカ、カナダ)に約8%である。1980年代後半の湾岸諸国への出稼ぎ労働者や1990年代の北米へのNRIの増大によって、この分布比率には変化が生じている。[重松伸司]

インド系移民の概念と職種

インド外務省は定住国の国籍・市民権やインド国籍、父系・母系の血筋にかかわらず、インド人の血統を引く者を「インド系移民(とその末裔)」と規定する。しかし、国によっては同化(国籍・市民権を取得)した者には、インド系といった概念規定を認めない場合もあり、また、自己規定による「インド系」「非インド系」という概念もあって多様である。
 インド系移民の職種も多様化している。
(1)英領植民地時代の初期移民の多くは、プランテーション(東南アジアのコーヒー、ココア、ゴム、紅茶、アフリカの綿花、中・南米やフィジーのサトウキビなどの農場)労働者、鉄道・港湾建設(アフリカ、東南アジア、カナダ)労働者であった。
(2)彼ら移民の第三~第四世代からは、商業のみならず弁護士・裁判官、医者、学者などの専門職、外交官僚、国際機関官僚、政治家、銀行・商社の事務管理職、コンピュータ技術者などが台頭している。
(3)1980~1990年代以降には、新たな移民の潮流が生まれてきた。エリート移民層NRIの進出である。彼らはヒンドゥージャ、B・R・シェッティなどのように、主として欧米を拠点に定住し、多国籍企業として事業展開する新興企業集団である。インド政府は1980年代後半に、「インド国籍の有無にかかわらず、これまで諸外国で活躍してきたインド系(英領時代にインドに居住していた者やインド旅券の保持者を含む)」をNRIと規定した。その意図は、ラジブ・ガンディー、ナラシマ・ラーオNarasimha Rao(1921―2004)両政権による市場開放政策のもとに、NRIの豊富な資本・技術・人材・情報をインドへの投資に向けるためであった。インド国内の企業ライセンス取得、資本保有比率、税負担、土地保有権などの優遇措置を受けて、1990年代以降、NRI企業家グループは、航空、化学、発電、港湾建設、医療、アパレル、電子工業など各種産業への投資・運営を行っている。
(4)また、1990年代後半には、コンピュータソフト産業の技術者・起業家としてインドからアメリカのシリコン・バリーやシアトル、東部地域へ移住する新世代移民も現れている。なかには、マルワリの出身ではあるが、現在オランダに拠点を置く鉄鋼王ミッタルに代表されるような、多国籍・多業種起業家も現れている。北アメリカ、イギリス、東南アジアの新移民層の間には国際的な情報ネットワークが形成され、音楽、ファッション、映画、娯楽などの移民情報文化が生まれつつある。
(5)他方、1980年代後半から増大した湾岸諸国への出稼ぎ移民は、建設労働、雑役、家内労働など、肉体労働者が主である。彼らは「印僑」とよばれる、初期の一時的な出稼ぎ移民としての形態や性質をもっている。彼らの送金が本国に残留する家庭の家計維持、本国における小規模商店の開業や住宅、土地購入の原資となっている。同時に家族の離散や移住国での失業など社会・経済問題も発生している。このように1980年以降の新移民層の間には、その職種・収入・移住地・社会状況などと関連して、二極的な階層分化が生じつつある。[重松伸司]

インド系移民の特質

インド系移民の特質を集約すれば以下の点であろう。
(1)家族・同族(血縁)・カースト・宗教・言語・同郷を単位とする結合が依然として強い。
(2)国家単位としてのインドへの執着・愛着はかならずしも強くない。そのことが逆に多国間の活躍を生み出す背景となっているともいえよう。
(3)旧インド系移民は都市内周辺部あるいは都市近郊地域に居住する傾向があり、中国人の都市中枢部居住型と対照的である。しかし、今日では、都市中心部に居住・定住する移民も増加しつつある。
(4)官界・政界の有力者も出現するが、概して政治権力の中枢には関与しない。もっぱら、産業界・経済界での活躍に活路をみいだしている。
(5)第一次、第二次移動など、複数の国・地域にまたがる移動が生じつつある。新移民のなかには、技術・資本・頭脳をもって、インド「本国」に回帰する人々も増加している。[重松伸司]
『『マラヤの華僑と印僑』(1961・アジア経済研究所) ▽V・S・ナイポール著、工藤昭雄訳『インド――傷ついた文明』(1978・岩波書店) ▽『中洋の商人――インド・ペルシャ・アラブの商才民族』(1982・日本経済新聞社) ▽重松伸司著『東南アジアのインド移民――インタヴュー記録・特定研究報告書』(1984・名古屋大学文学部) ▽伊藤正二・絵所秀紀著『立ち上がるインド経済』(1995・日本経済新聞社) ▽S・カールズ、M・J・ミラー著、関根政美・関根薫訳『国際移民の時代』(1996・名古屋大学出版会) ▽重松伸司著『国際移動の歴史社会学――近代タミル移民社会研究』(1999・名古屋大学出版会) ▽古賀正則・内藤雅雄・浜口恒夫共編『移民から市民へ――世界のインド系コミュニティ』(2000・東京大学出版会) ▽門倉貴史著『図説BRICs経済――台頭するブラジル、ロシア、インド、中国のすべて』(2005・日本経済新聞社)』

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