朝日日本歴史人物事典 「曾占春」の解説
曾占春
生年:宝暦8(1758)
江戸後期の本草学者。先祖は明人。名は槃,昌啓,永年,字は子攷。庄内(鶴岡)藩医の子として江戸に生まれ,初め庄内藩に仕える。田村藍水に学び,寛政4(1792)年薩摩(鹿児島)藩主島津重豪に仕え,同藩の本草学・博物学を興隆させた。重豪の命で編纂した『成形図説』30巻(1804)は有用植物の効能,育成法を記した応用博物学の名著で,他に『蝦夷草木志料』(1799),『春の七くさ』(1800),『渚の丹敷』(1803),重豪の業績録『仰望節録』(1832)など30数点の著作がある。該博な知識を有する俊才だったが,実地調査型ではなく,考証・注釈を軸とする名物学的色彩が濃かった。
(磯野直秀)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報