有や(読み)あれや

精選版 日本国語大辞典 「有や」の意味・読み・例文・類語

あれ【有】 や

① 「あればや」の意。
(イ) (「や」は疑問を表わす) …であるから…のであろうか。
万葉(8C後)一〇・一八八三「ももしきの大宮人は暇(いとま)有也(あれヤ)梅を挿頭(かざ)してここに集(つど)へる」
(ロ) (「や」は反語を表わす) …であろうか、そうではないのに。
※万葉(8C後)一・三二「古の人にわれ有哉(あれや)ささなみの古きみやこを見れば悲しき」
(ハ) (「や」は反語を表わす) あるからこそ…のであろうか、そうではないから…できない。
※万葉(8C後)六・九四三「玉藻刈る辛荷(からに)の島に島廻(しまみ)する鵜にしも有哉(あれや)家おもはざらむ」
② (文末用法。「や」は反語を表わす) あるだろうか、いやあるはずがない。
※万葉(8C後)一八・四一一三「慰むる 心し無くは 天ざかる 鄙(ひな)に一日も あるべくも安礼也(アレヤ)
③ (「や」が係助詞の機能を失って感動の意に近くなった用法) あるのかしら。あるのかなあ。
※新古今(1205)春下・一〇四「ももしきの大宮人はいとまあれや桜かざしてけふもくらしつ〈山部赤人〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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