有富(読み)ありどめ

日本歴史地名大系 「有富」の解説

有富
ありどめ

室町時代からみえる地域名称。有富川流域一帯をさす。永享二年(一四三〇)七月四日の東福寺領因幡古海郷年貢注文(東福寺文書)の寺田分五町の作人のうち、北河主計方・井上三郎右衛門方の肩に「有富」と記されている。二人とも名字を有し、名前の末尾敬称である「方」が付けられていることから有富に居住する土豪であったと考えられる。同年九月一九日の願文(熊野那智大社文書)に、医王いおう山先達松本栄尊引の旦那として「有富」に居住する藤原田中朝守の名がみえる。また天文一四年(一五四五)二月吉日の広峯ひろみね神社(現兵庫県姫路市)社家肥塚家の檀那村付帳に「一いなはありとミ内かうろ一ゑん」とあり、因幡有富の内高路こうろ一円が檀那であった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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