敬称(読み)けいしょう

精選版 日本国語大辞典 「敬称」の意味・読み・例文・類語

けい‐しょう【敬称】

〘名〙
人名や官職名などのあとに添えて、または単独に用いて、その人に対する敬意を表わす語。「殿」「様」「氏」「さん」「くん」などの類。
皇室典範(明治二二年)(1889)一七条「天皇太皇太后皇太后皇后の敬称は陛下とす」
相手、または相手方事物について敬意をもってさす表現。「御前(ごぜん)」「尊大人」「貴社」「高説」の類。
風俗画報‐二五五号(1902)論説未亡人とは字の如く夫子の死に後れたる妻女自称なり〈略〉寡婦を呼ぶの敬称なりと思ふもの多し」

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デジタル大辞泉 「敬称」の意味・読み・例文・類語

けい‐しょう【敬称】

人名や官職名などの下につけて、または単独に用いて、その人に対する敬意を表す語。「様」「先生」「閣下」など。
相手または相手方の事物について、敬意を表す言い方。「あなた」を「貴兄」、「相手の原稿」を「玉稿」という類。
[類語]尊称

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「敬称」の意味・わかりやすい解説

敬称
けいしょう

人に対して敬意を示すために氏名や職名に添えることば。英語のMr., Mrs., Missやフランス語のM., Mme., Mlle.などは氏名の前に置くが、日本語では後に添える。日本語の敬称は、直叙を避けた婉曲(えんきょく)な表現から生まれたものが多く、また中国から入った漢語に多い。いまもっとも一般的なものとしては、主として書きことばに用いられる「様」「殿」「氏」などがあり、話しことばでは男子に「くん」、男女両方に「さん」が用いられる。皇族に対しては、第二次世界大戦前もっぱら「陛下」「殿下」が用いられたが、戦後は「様」も使われるようになった。

 そのほか、性や年齢、職業・地位などに応じて「兄」「嬢」「翁」「夫人」「関」「丈」「先生」「閣下」など多くの敬称があるが、話しことばでは「さん」がもっとも一般的であり、1952年(昭和27)に文部省から出た『これからの敬語』でも「さん」を標準の形としている。なお、たとえばA教授、B局長など、官名や職名を氏名の下につけると、敬称的になる。

[辻村敏樹]

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普及版 字通 「敬称」の読み・字形・画数・意味

【敬称】けいしよう

尊称。

字通「敬」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の敬称の言及

【敬語】より

…国語審議会は1952年に〈これからの敬語〉を定めて,身近な問題について望ましいとする形を示した。
[敬称]
 話中の登場者(第三者,相手,ときに自分)を表す語に,その人に対する敬意から特別に添える語。英語,フランス語などでは,Mr.,Mrs.,Miss,Ms.;M.,Mme.,Mlle.,Me.,Mgr.などの比較的限られた種類の語を前におくが,中国語や日本語では,先生,大人,夫人,くん,さん,氏,嬢などを後につけ,その種類が多い。…

※「敬称」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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