島根県中央部、大田(おおだ)市の一地区。旧大森町。銀山川沿いにあり、石見(いわみ)銀山の地として知られた。江戸時代を通じて天領で、代官所が置かれた。銀山最盛期の17世紀には人口20万にも達したという(石見銀山旧記)。銀山時代の上千京、唐人屋敷などの地名も残る。昭和初年に銀山は廃坑になったが、代官所跡、間歩(まぶ)(坑道)7か所、山吹城跡など東西3キロメートルに及ぶ地域が石見銀山遺跡として国の史跡に指定され、盛時のおもかげを残す街並みは重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。2007年(平成19)には大森町の銀鉱山跡と鉱山町を含む銀山関連の旧跡が石見銀山遺跡とその文化的景観の名称でユネスコの世界文化遺産に登録された。地区内には石見銀山世界遺産センター、石見銀山資料館、「いも代官」井戸平左衛門正朋(へいざえもんまさとも)(井戸正明(まさあきら))を祀(まつ)る井戸神社などがある。
[石橋忠男]
秋田県南部、平鹿郡(ひらかぐん)にあった旧町名(大森町(まち))。現在は横手市大森町で、市の北西部を占める。旧大森町は、1901年(明治34)町制施行。1955年(昭和30)八沢木(やさわぎ)村と合併、1956年川西村と合併。2005年(平成17)増田、平鹿、雄物川(おものがわ)、十文字(じゅうもんじ)の4町および山内(さんない)、大雄(たいゆう)の2村とともに横手市に合併。JR奥羽本線横手駅からバスの便がある。地域の西部は出羽(でわ)丘陵で占められ、冬は積雪2メートルに達し特別豪雪地に指定されている。東端を雄物(おもの)川が流れ、稲作中心の農業に、畜産、リンゴ、葉タバコ、シイタケ、ナメコなどの特用林産物を取り入れ、複合経営を目ざしている。波宇志別神社(はうしわけじんじゃ)に伝わる保呂羽山霜月神楽(ほろわさんしもつきかぐら)は国の重要無形民俗文化財、また神楽殿は室町時代の建築で、国の重要文化財に指定されている。
[宮崎禮次郎]
『『大森町郷土史』(1981・大森町)』
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…1954年大田,久手(くて)2町と長久,鳥井,波根東,川合,静間,久利6村が合体,市制。56年五十猛(いそたけ),大屋2村と大森町を編入。人口3万5333(1995)。…
※「大森」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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