…それ以後,朝廷や幕府の崇信も厚く建物や寺領の寄進も続いたが,応仁の乱で衰微し,近世になって豊臣・徳川両氏の保護もあって寺観もやや整備され,これまでの華厳・真言の兼宗をやめて真言宗に転じた。なお茶道史の上で,栄西から中国の茶の種子を贈られた明恵が,当寺の山内にこれを植え,それ以来栂尾産の茶は中世を通じて〈本茶(ほんちや)〉と呼ばれ,栂尾以外でとれる〈非茶〉と区別されて珍重されたことが注目される。当寺の宝物はきわめて多い。…
…やがて茶は遊戯化し,14世紀初期には闘茶という茶の遊びが生まれた。闘茶は飲茶勝負とも呼ばれたように,茶の味を飲み当てるゲームで,初めは本茶(京都栂尾の茶)と非茶(栂尾以外の茶)を飲み分け,得点によって懸賞が分配される形式であったが,のちには茶の種類を4種にふやし,10服とか70服とか何杯もの茶の味を当てる複雑なゲームとなった。このような闘茶はその後15世紀末まで盛んに行われ,16世紀には衰退していったが,現代でも群馬県中之条のお茶講などの民俗に残照をみせている。…
…回茶とも貢茶とも別称されることがある。本茶〈栂尾(とがのお)茶〉と非茶〈それ以外の産地の茶〉とを飲み分け,点数をつけながら賭物(かけもの)を取り合う一種の博奕(ばくち)であるため,茶勝負とか茶湯勝負ともいわれた。そのもとは中国の宋代の茶法に発しており,水質や茶の品種が争われたりしていた。…
※「本茶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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