栂尾(読み)トガノオ

デジタル大辞泉 「栂尾」の意味・読み・例文・類語

とがのお〔とがのを〕【栂尾】

京都市右京区清滝きよたき川上流の景勝地古来高雄たかお高尾)・槙尾まきのおとともに三尾さんびと称する紅葉名所明恵上人みょうえしょうにん再興した高山寺こうざんじがある。

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精選版 日本国語大辞典 「栂尾」の意味・読み・例文・類語

とがのおとがのを【栂尾】

  1. 京都市右京区梅ケ畑、大堰(おおい)川支流の清滝川上流の地域。南の高尾・槇尾(まきのお)とともに三尾(さんび)といわれ、古来、紅葉の美しさで知られる景勝地で、高山寺がある。

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日本歴史地名大系 「栂尾」の解説

栂尾
とがのお

[現在地名]右京区梅ヶ畑栂尾町

高尾たかお(雄)槇尾まきのおとともに三尾さんびの一つでいちばん北に位置し、麓を清滝きよたき川が南流する。北東岸に栂尾山高山こうざん寺があり、紅葉の名勝地でもある。

地名の起りは不詳。天台座主法性坊尊意僧正が幼少の頃、貞観一八年(八七六)度賀尾とがのお寺に入山したとの記録が、栂尾の名のみえる早い例である(日本高僧伝要文抄・扶桑略記)。その後の建永元年(一二〇六)明恵上人(高弁)が後鳥羽上皇の院宣を奉じて度賀尾寺を再興。高山寺と号して華厳宗の道場とする(→高山寺。「元亨釈書」では栂尾に梅尾の字をあてている。

栂尾はまた、明恵が茶を栽培して茗園となったことで知られる。「喫茶雑話」には「明恵上人渡唐せさせ給ふ、帰朝のみぎり、彼一株の種を袖につゝみ、筑紫背振山に移し、そのゝち栂尾にうつし、其後今の宇治山に移し給ふ」とあり、また、寛政一一年(一七九九)の「都林泉名勝図会」では、建仁寺の栄西が帰朝して明恵に茶の実を贈り、栂尾の深瀬三本木ふかせさんぼんぎに植えられて「天下茶園の初とす」とある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「栂尾」の意味・わかりやすい解説

栂尾
とがのお

京都市西部、右京区の一地区。清滝(きよたき)川に臨み、高雄(高尾)、槇尾(まきのお)とともに三尾(さんび)とよばれ、紅葉(もみじ)の名所として知られる。東岸には1206年(建永1)に明恵(みょうえ)によって再興された高山寺(こうざんじ)がある。また栄西(えいさい)が中国から持ち帰った茶が明恵によって初めて栽培された地という。京都駅からバスが通じる。

[織田武雄]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「栂尾」の意味・わかりやすい解説

栂尾
とがのお

京都市右京区梅ヶ畑の一地区。大堰川支流の清滝川に沿う景勝地で,紅葉の名所。高山 (こうざん) 寺の所在地として有名。高雄,槇尾 (まきのお) とともに三尾 (さんび) と呼ばれることもある。また,日本における臨済宗の開祖栄西が中国から持帰った茶を明恵が初めて栽培した地ともいわれている。

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世界大百科事典(旧版)内の栂尾の言及

【三尾】より

…京都市右京区梅ヶ畑(うめがはた)にある高雄(尾),槙尾(まきのお),栂尾(とがのお)の3地区の総称。京都から周山(しゆうざん)へ向かう周山街道(国道162号線)が御経坂峠から清滝川の谷へ下りた付近に位置し,渓谷美,紅葉の美しさと古刹(こさつ)で知られる。…

※「栂尾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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