山川 日本史小辞典 改訂新版 「本願寺飛雲閣」の解説
本願寺 飛雲閣
ほんがんじひうんかく
3層の楼閣。境内の東南隅に設けられた滴翠園の滄浪池に臨んで北面して建つ。蒸し風呂の浴室をもつ黄鶴台(おうかくだい)とは橋廊で結ばれている。間口幅に対して奥行幅が狭く,檜皮葺(ひわだぶき)の屋根の形容も各層において異なり,変化に富んだ軽妙な姿は数寄屋造を代表する。聚楽第(じゅらくてい)の遺構とも伝えられてきたが,移築の痕跡はなく,初層の招賢殿の上段・上々段の構成も本願寺型対面所形式であることなどから,1620~43年(元和6~寛永20)頃に,ここに造立されたものと考えられる。初層は舟入之間をはじめ,招賢殿・八景之間など。2層は上・下段をもった歌仙之間,3層が8畳に床を構えた望楼の摘星楼からなる。1795年(寛政7)舟入之間の東に,茶室憶昔(おんじゃく)席が建て増しされ,ここには南方産の蛇の目の木の床柱を立てる床と,それに向きあう付書院が構えられている。国宝。本願寺浴室(黄鶴台)は重文。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報