李劼人(読み)りかつじん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「李劼人」の意味・わかりやすい解説

李劼人
りかつじん / リーチエレン
(1891―1962)

中国の小説家。成都に生まれ育つ。中学時代に四川保路(しせんほろ)運動(1911)に参加。1912年中学卒業後、四川省の滬(こ)県と雅安(があん)の教育科長を歴任(1913~15)、辛亥(しんがい)革命後の官界腐敗に深く失望して辞任。『四川群報』『川報』などに拠(よ)って社会批判の論陣を張り、小説も書く。19年少年中国学会に参加、成都分会で活躍。同年末フランスに留学、自然主義の影響を受ける。24年帰国後、成都大学で教鞭(きょうべん)をとりつつ現実批判の小説を次々と発表。抗日戦期には文協成都分会主席として活躍。解放後、成都市第二副市長にもなる。代表作は、辛亥革命期の四川を舞台にした長編『死水微瀾(しすいぴらん)』(1935)、『暴風雨前(ぼうふううまえ)』(1936)、『大波(おおなみ)』(上中下3冊、1937。解放後の改訂本は4分冊)の3部作。54年作家協会に所属してから、この3部作の改訂に取り組み、次々と出版されるに及んで彼の名は広く知られた。

[伊藤敬一]

『竹内実訳『中国現代文学7 李劼人』(1971・河出書房新社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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