成都(読み)セイト

百科事典マイペディアの解説

成都【せいと】

中国,四川省の省都。特産の蜀錦から錦城ともよばれる。成都盆地の中心にあり,成昆(成都〜昆明),宝成(宝鶏〜成都),成渝(せいゆ)(成都〜重慶)などの鉄路と岷江(びんこう)の水運により水陸交通は至便である。成都双流国際空港がありハブ空港として機能している。古来,物産が豊富で要害堅固なところで,巴蜀(はしょく)の中心であった。著名な蜀江錦をはじめ漆器などを産し,鉄鋼,機械,紡織などの近代工業も発展している。2000年に始まった西部大開発の拠点都市だが,2008年の四川大地震で被害を受けた。中国南西部最大の文教都市でもあり,四川大学,四川師範大学,成都大学,四川音楽学院をはじめ10余の高等教育機関がある。風光明媚で,諸葛孔明と主君劉備などを祀る武侯祠,杜甫草堂,隣接する広漢市の三星堆遺跡など名勝・史跡が多い。都江堰・青城山,九寨溝・黄龍風景区,峨眉山・楽山大仏などの世界遺産の観光拠点にもなっている。香辛料をきかせる四川料理の本場で,有名なマーボドウフ(麻婆豆腐)は,同市の〈陳麻婆豆腐店〉が発祥地。552万人(2014)。
→関連項目四川[省]

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世界大百科事典 第2版の解説

せいと【成都 Chéng dū】

中国,四川省中央部,四川盆地北西部の市。省人民政府所在地。人口293万(1994)。北西の邛峡(きようらい)山系や九頂山から南東の竜泉山方向に流れる長江(揚子江)の支流の岷江(みんこう),沱江(だこう)が形成した沖積平野成都平原の中央部を占める。〈蜀山氏(しよくさんし)〉とよばれた隴西(ろうせい)すなわち甘粛の羌(きよう)族の一派が九頂山をへて成都平原に入り,周の末期に国都をおき,成都と名づけた。

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大辞林 第三版の解説

せいと【成都】

中国、四川省の省都。米・茶・薬材などの集散が盛ん。絹織物工業が発達し蜀錦として知られる。三国時代の蜀の都。チョントゥー。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

成都
せいと / チョントゥー

中国、四川(しせん)省の副省級市(省と同程度の自主権を与えられた地級市)で、同省の省都。略称は蓉(よう)。1983年には隣接する温江(おんこう)地区を併合し、2017年時点で温江など11市轄区、大邑(たいゆう)など4県を管轄し、都江堰(とこうえん)など5県級市の管轄代行を行う。人口1228万0500、市轄区人口698万1400(2015)。人口や工業生産量では東方にある中央直轄市の重慶(じゅうけい)のほうが大きいが、良好な自然条件のうえに古い歴史と文化をもち、「天府の国」と称される。
 四川盆地の西端、岷江(びんこう)のつくる扇状地の扇端に位置し、豊かな水量と温暖な気候(年平均気温16.7℃、年降水量998ミリメートル)に恵まれている。甲府市と姉妹都市提携を結んでいる。[秋山元秀・編集部]

歴史

早くから農業開発が進み、すでに先秦(せんしん)時代より蜀(しょく)国が形成され四川盆地開発の拠点となっていた。秦はこれを滅ぼし、その資力をもとに中原(ちゅうげん)へ進出したといわれる。四川盆地の独特の政治地理的性格と、米を中心とする農業に加え、蜀江錦とよばれた絹織物などの豊富な手工業生産により、この地は中原、関中(かんちゅう)、江南と匹敵する力をもっていた。三国時代には劉備(りゅうび)が諸葛孔明(しょかつこうめい)(諸葛亮(しょかつりょう))とともにここに蜀漢を建て魏(ぎ)、呉と鼎立(ていりつ)し、唐代には揚州(ようしゅう)に次いで天下第二の都会と称された。唐の安史の乱に際しても、玄宗は成都に逃れ南京(なんけい)と称した。詩人杜甫(とほ)が4年余りを過ごし名作を残したのはこのときである。
 そののちも安定した状態で繁栄を続け、四川のみならず西南中国全体の中心であった。明(みん)代には皇族である蜀王のために皇城が築かれたが、この地区は今日でも市街の中心になっている。中華民国時代の1930年成都市となり、その後周囲の郊区を編入して今日に至る。[秋山元秀]

産業・交通

古くから農業と第三次産業が発達していたが、1964年に中国政府が始めた「三線建設」(国防のため、工業を三線=四川省などの奥地に移す計画)によって多数の国有企業が本市に移され、工業化が加速した。1988年に国家ハイテク産業開発区(高新区)が設置されたほか、2000年からは「西部大開発」政策のもとで外資企業の誘致に力が注がれ、世界的な企業が次々に進出した。なかでもアメリカのインテル社は、2003年にチップセットの製造工場を建設し、その後も増資を重ねた結果、同工場は世界最大級のチップ生産能力を有するに至った。このほかにも、戦闘機、精密機械、電子部品、バイオ医薬品、自動車などの工場が立地する。近年は新興都市として世界の注目を集めており、2010年『フォーブス』誌(アメリカのビジネス誌)の「次の10年でもっとも成長する都市ランキング」では世界1位に選ばれた。
 中国西南地区の交通、物流の中心地であり、12本の高速道路が集まり、成渝(せいゆ)線(成都―重慶)、宝成線、成昆線のほか、2015年開通の成渝高速鉄道、2014年開通の滬漢蓉(こかんよう)高速鉄道(上海(シャンハイ)―武漢(ぶかん)―成都)も通じる。市中心部の南西約16キロメートルには成都双流国際空港があり、西南地区最大のハブ空港となっている。[唐 琳]

文化・観光

市内には、諸葛孔明を祀(まつ)った武侯祠(し)など三国時代にまつわる遺跡のほか、五代前蜀王の王建(847―918)の墓(永陵)、杜甫草堂などの観光地がある。また、西郊の都江堰市にある都江堰は中国史上もっとも著名な水利事業の一つである。
 香辛料を多く使用する四川料理の中心地であり、2010年にはユネスコ(国連教育科学文化機関)の「食文化創造都市」に認定された。紙幣の発祥地としても知られ、宋(そう)代に万仏寺の工房で製造された交子(こうし)は世界最初の紙幣とされる。[秋山元秀・編集部]

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