李朝民画(読み)りちょうみんが

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「李朝民画」の意味・わかりやすい解説

李朝民画
りちょうみんが

朝鮮,李朝時代の民画。民画は水墨画などの鑑賞画とは異なる価値基準をもち民族の特性が種々の絵画形態に表わされたもので,李朝庶民の生活とともに発展してきた実用的絵画をいう。作品数は鑑賞画をはるかにこえる。柳宗悦は内容から李朝民画を文字絵,吉凶にちなむもの,伝統的絵画類,静物画,儒仏道三教にちなむものに分類している。具体的には「孝,梯,忠,信,義,礼,廉,恥」の8文字を墨で文様化し,絵画部分を彩色した文字絵や,かささぎと,とらを題材にしたユーモラスな絵,李朝独特の文房静物図などに親しみが感じられ,素朴で楽観的な民族の特性がうかがわれる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の李朝民画の言及

【朝鮮美術】より

…むしろ庶民階級における絵画の需要は大きく,量的には正統的絵画をはるかに超える厖大な作品が制作されている。これらの作品は庶民の日常生活に結びついた〈李朝民画〉と通称されるもので,日本では柳宗悦を中心とした民芸運動の中で注目,紹介され,その独特な絵画美が,あたかも朝鮮絵画を代表するかのようにも扱われてきた。
【彫刻】
 三国時代の4世紀末に仏教が朝鮮半島に伝えられ,彫刻は仏像を中心に展開する。…

※「李朝民画」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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