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静物画 せいぶつが still-life painting

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

静物画
せいぶつが
still-life painting

果実,花,壺など,静止して動くことのないものを描いた絵画。最古の例は古代ローマ時代,ポンペイの壁画にもみられた。しかし絵画の一ジャンルとしてのタブローの静物画が確立されたのはルネサンス期で,J.バルバリが最初に制作した。

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デジタル大辞泉の解説

せいぶつ‐が〔‐グワ〕【静物画】

草花や器物など、静物を描いた絵画。人物画・風景画に対していう。

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百科事典マイペディアの解説

静物画【せいぶつが】

切花,果実,器物等それ自体では動かないものを組み合わせて描いた絵。英語ではスティル・ライフstill lifeフランス語ではナチュール・モルトnature morteという。

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世界大百科事典 第2版の解説

せいぶつが【静物画】

切花,果実,食器,喫煙具,楽器,書物,死んだ魚や小禽獣など,人間の生活に深いかかわりをもつ,それ自体では動かぬ種々の事物を卓上などに自由に構成・配置して描いた西洋絵画の一分野。昆虫やネズミなどの生きた小動物が従属的に描き込まれることもまれでないが,東洋における関連分野である花鳥画のように,鳥や自然の姿のままの,すなわち土に根を下ろした植物が主役を占めることはない。呼称にはゲルマン語系(英語のstill life,ドイツ語Stillebenはともにオランダ語stillevenに基づく)とロマン語系(フランス語のnature morte,イタリア語natura morta)の二つがあり,いずれも〈動かぬ事物〉を原義として,〈静物画〉という包括的概念の確立よりやや遅れて18世紀に成立した。

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大辞林 第三版の解説

せいぶつが【静物画】

花・果実・器物など静物を素材として描いた絵画。人物画・風景画に対していう。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

静物画
せいぶつが
still life英語
nature morteフランス語
Stillebenドイツ語

花、果実、魚や小鳥の死体、各種用器具などの静物(それ自体は動かないもの)を描く絵画。これが西洋絵画の一ジャンルとして確定するのは17~18世紀であるが、古くから単独に、また他の絵画の主題に随伴して描かれていた。すでにギリシアでは、ゼウクシスブドウの房を描いて高い評価を受けたことがプリニウスの記にある。古代ローマの壁画やモザイクにも、食卓上の食物、あるいは床上に散乱した食べ残しを題材とする、いわゆるクセンア(食糧画)とよばれるジャンルがあり、トロンプ・ルイユだまし絵)的な技巧の熟練と、客へのもてなしの寓意(ぐうい)性を目ざしていた。
 中世においては、事物の写実を軽視したキリスト教思想の影響でその作例はないが、14世紀末ころから現実の物や自然への関心が高まるにつれ、宗教画の一部に卓上の静物、草花や花瓶の花などが描かれ始める。そして同時期、棚やその上に置かれた静物の表現が、やはりトロンプ・ルイユ的効果をねらった壁画の寄木細工などで試みられている。さらに15世紀には、静物への関心とその精密な再現への志向が高まりをみせ、とくに聖母マリアの純潔を示すユリやイチハツの花瓶、「最後の晩餐(ばんさん)」や「カナの結婚」のための食卓、音楽と虚栄の象徴でもあり遠近法の探究の好対象でもあった弦楽器リュート、瞑想(めいそう)する聖者の机上の書物などが、その主要な題材に選ばれている。
 こうして15~16世紀に祭壇画の裏面などに独立した静物が描かれたのを先例として、17世紀になるとフランドル、オランダ、スペインで、他の主題から独立した静物画がカラバッジョ、ヤン・ブリューゲルらによって描かれた。とくに市民社会の現実的関心が強まったオランダでは、多くの画家がこぞって花や果実、食卓、市場、狩りの獲物を題材にして、17~18世紀の他国における静物画制作の先鞭(せんべん)をつけた。still lifeの語源は、オランダ語のStill-Levenに由来している。他の国々では、17世紀にはまだ宗教画などのジャンルに比べて静物画の地位は低かったが、装飾的テーマや「五感の寓意」としてはよく描かれており、これらはやがて18世紀フランスの「花と果実の画家」シャルダンにおいて開花する。そしてこの伝統は19世紀に再生し、印象派以降、風景画とともに絵画の中心的ジャンルとなってセザンヌらを生んだ。20世紀はさらにセザンヌが追求した「物と物との空間の関連」の課題を先鋭化し、フォービスム、キュビスムによって静物画の観念が一新している。
 なお東洋においては、自然界における事物の真実のあり方を分析的にとらえる視野をもたなかったために、西洋絵画での静物画に匹敵する歴史をもっていない。中国においても画題に静物が選ばれた例は多いが、それはそのものの実在性よりも、そのものがもつ生命の表出に意が用いられたということができる。わが国においても静物画が一つのジャンルを確立したのは、近代以降である。[中山公男]

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世界大百科事典内の静物画の言及

【絵画】より

…また木版画,銅版画,石版画などの版画,あるいはその応用としての挿絵,ポスターなども,色と形による平面の造形芸術であるかぎり,絵画の一分野と考えられる。絵画の分類としては,画材,形式による分類のほか,主題による分類(歴史画肖像画,風景画静物画風俗画等),社会的機能や役割による分類(宗教画,装飾画,記録画,教訓画等),地理的分類(イタリア絵画,フランス絵画,インド絵画等),歴史的流派や様式による分類(ゴシック絵画,バロック絵画,古典主義絵画,抽象絵画等)などがある。
[絵画の起源]
 古代ギリシアのある伝説は,絵画の起源を次のように語っている。…

【バロック美術】より

…バロック美術の中でもっとも主要な役割をはたす光は,万物が現象として,われわれの眼に映ずるものだという世界認識の造形的なあらわれであり,明暗の強調やクローズアップ手法,アトモスフィアや色彩の微妙な諧調のみごとな表現など,バロックの最大の成果とされる手法は,見ることの主体性が確立された近代の意識を表している。また,風景画,静物画がはじめてこのときにジャンルとして独立したのも,一つには万物に対する関心が深まったことのあらわれである。以上の特質を,ルネサンスの〈知的リアリズム〉に対して,〈視覚的リアリズム〉と呼ぶことができる。…

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