日本大百科全書(ニッポニカ) 「東三河工業地域」の意味・わかりやすい解説
東三河工業地域
ひがしみかわこうぎょうちいき
愛知県南東部、三河港を中心に豊川(とよかわ)市、新城(しんしろ)市の内陸工業地区を含む臨海工業地帯。1964年(昭和39)に工業整備特別地域に指定され、豊橋(とよはし)、蒲郡(がまごおり)、西浦、田原4港をあわせて三河港とし、1964年に三河港は重要港湾に指定された。しかし、港としての歴史が浅く港湾施設も十分でなかったため、3300ヘクタールもの広大な埋立地は長い間生かされなかったが、1979年にトヨタ自動車田原工場とその関連工場が立地して自動車生産と移輸出の基地となった。続いてスズキが静岡県湖西(こさい)市に、三菱自動車工業が岡崎市に工場を設け、三河港に輸出基地を設けた。
さらに1991年(平成3)、恵まれた交通条件と広い用地に着目したダイムラー・ベンツ(現、メルセデス・ベンツ)社とローバーグループがここを輸入基地とすることを決め、横浜から移転、1992年にはフォルクスワーゲン・アウディ・日本(現、フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン)社も本社と輸入基地を移した。1993年には三河港は外国車輸入量でわが国第1位を記録し、以来その座を保持し続けている。東三河は新車整備センター、立体自動車倉庫、部品センター、トレーニングセンターなどを備えたわが国最大の輸入車関連事業所の集積地である。
[伊藤郷平・伊藤達雄]