改訂新版 世界大百科事典 「林政八書」の意味・わかりやすい解説
林政八書 (りんせいはっしょ)
琉球政府が18世紀の中ごろに林業政策上だした7編の布令と,1869年(明治2)に森林官の職務怠慢を戒めるためにだした布令1編を加えたものをさしていう。18世紀の中ごろ琉球政府の最高責任者であった蔡温は,清や島津藩に対し発言権を高めるためには,経済復興が第1であるとし,その基本を林業振興においた。すなわち築城用材,大型船舶用材の確保に重点をおき,さらに住民の燃料,建築材の自給に努めた。その7編の布令は,森林造成の基礎となる森林立地の判定法,林相の判定法,あるいは各樹種の造林法などの技術指導書的なものと,各島々の木材生産計画の基本方針,森林官の服務規定,森林警察取締り,およびその罰則などの林業政策的なものとからなっている。林政八書という由来は,85年に当時の県令が荒廃した沖縄の山林を復旧させるために,上記8編の布令をまとめて復刻し,一般に配布したことによる。
執筆者:橋本 与良
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報