クワの剪定(せんてい)法で,春のカイコの飼育時期に切り取った後に残ったクワの枝を,株の形やその後に伸びてくる枝の位置などを見さだめ,その空間的な配置が適切になるよう剪定する作業をいう。毎年,30~50cmの高さで枝を切ると株にこぶし状の塊ができるが,これを拳(けん)と呼ぶ。この拳ができるように株直しを行う方法を拳式株直しというが,この場合には株にある潜伏芽や不定芽から枝が伸びてくる。これに対して枝を株から10cmぐらい残して切り戻す方法を無拳式株直しというが,この場合には枝にある定芽から枝が伸びてくる。このように切り戻した株や枝から再び伸びてくる枝を相続枝というが,無拳式では多くの相続枝が伸びてくるため枝の空間的な配置が乱れ,しかも作業が難しい。拳式では相続枝は少なく作業も容易であるが,古くなると拳が大きくなり,相続枝の伸びも乱れてくるので,時には無拳式株直しを行うことも必要である。
執筆者:間 和夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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