棚捜(読み)たなさがし

精選版 日本国語大辞典 「棚捜」の意味・読み・例文・類語

たな‐さがし【棚捜】

〘名〙
① 棚をさがして、物を求めること。特に、台所の棚をさがして、飲食物を求めること。盗み食い。つまみぐい。
※俳諧・崑山集(1651)三「藤の歌読むや心の棚さかし〈安明〉」
※浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)四「睟(すい)らしい夜盗(よとう)の棚(タナ)さがし」
近世、遊里で、揚げ屋の客が夜ふけに起き出して酒などを飲んで興ずること。〔評判記・色道大鏡(1678)〕
③ 他人の欠点短所をさがしだして悪く言うこと。
※浮世草子・好色敗毒散(1703)五「女郎ろくろ首 まぶ狂ひの棚さがし」
④ すみずみまでさがし求めること。
浄瑠璃・苅萱桑門筑紫𨏍(1735)三「智恵の袋の棚さがし、暗がり探す如くにて暫し途方にくれけるが」
⑤ 正月の四日に、神棚にそなえてあった餠やその他の供え物をおろして集め、雑煮、粥などにしてみなで飲食すること。正月の一一日に行なう地方もある。〔俳諧・糸切歯(1762)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android