コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

雑煮 ぞうに

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

雑煮
ぞうに

餅に数種の野菜,鶏肉,魚介類,魚肉練製品,豆製品などを加えて汁物正月三ヵ日に食べて新年を祝う。古くは室町時代にもつくられたが,一般に行事食となったのは江戸時代からである。地方によりや加える副材料に特色があり,汁は大別して濃尾平野を境にして関西地方の味噌汁と中部・関東地方以北の澄まし汁に分けられる。たとえば東京付近では焼いた切りに鶏やかもの肉,えび,かまぼこ,青野菜,ゆずなどを加え,こんぶとかつお節出し汁をとり,澄まし仕立てとする。京阪地方では大根,人参,八頭などの野菜や焼き豆腐などを入れ,丸餅を焼かないで湯煮して加え白味噌仕立てとする。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報

デジタル大辞泉の解説

ぞう‐に〔ザフ‐〕【雑煮】

餅(もち)に具をあしらった汁物。地方により具はさまざまで、仕立ても澄まし汁・味噌汁といろいろ。主として正月の祝い膳に用いる。 新年》「三椀の―かゆるや長者ぶり/蕪村

出典|小学館デジタル大辞泉について | 情報 凡例

百科事典マイペディアの解説

雑煮【ぞうに】

餅(もち)を主体にし野菜,魚介類,鳥肉などを配した汁物。正月の祝い料理とする。材料は主としてその土地に産するものが使われる。東京はすまし汁に焼いた切餅を入れ,エビ,かまぼこ,コマツナなどを配し浅草のりを浮かす。
→関連項目

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて | 情報

和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典の解説

ぞうに【雑煮】

(もち)と種々の具を煮て作る汁物。主に正月の祝い膳に用いる。地方や家庭によって、餅だけを煮てかつお節やみつばを入れる程度のシンプルなものから、大根・にんじん・ごぼう・竹の子さといもなどの野菜、魚やえびなどの魚介類、鶏肉、しいたけ、油揚げこんにゃく、かまぼこなど10種類以上も入れる具だくさんのものまで、さまざまなものがある。すまし仕立てもみそ仕立てもあるが、関東では前者、関西では後者が多いとされる。餅は関東では切り餅、関西では丸餅を用いることが多く、香川のようにあずきあんの入った餅を用いるところもある。

出典|講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について | 情報

世界大百科事典 第2版の解説

ぞうに【雑煮】

雑煮餅ともいい,野菜,魚貝,鳥肉などを具にした汁に餅を入れて煮た料理。いろいろの材料をまぜて煮るための名で,別に〈雑(ほうぞう∥にまぜ)〉とも呼んだ。現在では正月三箇日の祝膳に用いられるが,この風習は室町末期ころ成立したものらしい。雑煮,雑煮餅の語はそれより古く室町前期から見られ,おもに儀礼的な酒宴の初献(しよこん)に用いられていた。伊勢貞丈は,初献に餅を煮て勧めるのは〈臓腑を保養する〉ためで,亨雑は〈保臓〉だとしている。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

大辞林 第三版の解説

ぞうに【雑煮】

主として正月の祝い膳に供する、餅を入れた汁。取り合わせる具、汁の調味、餅の形、調理法などは地方によってさまざまである。 [季] 新年。

出典|三省堂大辞林 第三版について | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

雑煮
ぞうに

魚貝、野菜など数種の材料を煮合わせた汁に餅(もち)を加えた羹(あつもの)。雑煮餅ともいう。主として正月三が日の祝い膳(ぜん)に用いる。雑煮とはごった煮の意であるが、古く上方(かみがた)では五臓を保養するものとして保臓(ほうぞう)とよんだ。四条流園部(そのべ)派で臓煮の字をあてるのもこの例。宮中の女房詞(ことば)では烹雑(ほうぞう)(ぼうぞうともいい、烹は煮るの意)といった。
 もともと神祭に供えた神饌(しんせん)を下げて、神と氏子など参加者が共食する「直会(なおらい)」に起源をもち、さらにそれが年頭の年神迎えの供物を食べることをさすようになった。九州各地で正月の雑煮をナオライあるいはその訛語(かご)でよぶのはこのためである。餅については、年始に鏡餅、大根、瓜(うり)、猪(いのしし)や鹿(しか)の肉などを食べて長寿を願う歯固(はがた)めの行事が古くからあり、これがのち雑煮に加えられるようになったのであろう。
 雑煮に用いる箸(はし)は柳が多く用いられ、中太で両端を細く削ってある。その由来は、足利(あしかが)7代の幼将軍義勝(よしかつ)(1434―43)のとき、元朝儀式の箸が折れ、その7月には落馬により夭折(ようせつ)したため、以後太箸に改めたことによるという。江戸時代、浅草の市(いち)では雑煮箸を「おかんばし」とよんで売っていたが、これは上方や新吉原の廓(くるわ)内に残っていた雑煮の古称「羹(かん)」(あつもの)によるものである。箸袋は、家族それぞれ、鶴(つる)、亀(かめ)、松竹梅などの文字を書き、父が鶴で母が亀などと定めていた。
 朝鮮半島でも正月に餅とスープのトックッ(湯餅(タンピョン))を食べる。雑煮のようなものである。[多田鉄之助]

種類

雑煮は関東風と関西風に大別できるが、その地方に産するものをおもに用いるため各地各様のものがあって、その種類は著しく多い。関東風は澄まし汁仕立てで、鶏肉か鴨(かも)肉、小エビ、かまぼこ、ゴボウ、コマツナまたはホウレンソウ、ダイコン、サトイモ、シイタケなどに切り餅を焼いて加える。のりを添えることもあり、吸い口に切りユズを散らすのが原型である。関西では京都のものが古い歴史があり、関西風の代表型ともいえる。白みそ仕立てで丸小餅を湯煮して用いる。ヤツガシラ、ダイコン、焼き豆腐などを加え、花がつおを散らす。細かく切った塩ブリを加えることもある。みそ仕立ての雑煮は、大阪、神戸、岡山とほぼ同じ形態である。岡山には澄まし汁仕立てもあるが、これより西は澄まし汁仕立てが多い。関東の雑煮にみそを用いないのは、武士が「みそをつける」ということばを嫌ったためという説がある。また、京都でヤツガシラを用いるのは、人の頭にたてという意もあるが、ことばよりも味本位で、これが材料に用いられている。
 各地の雑煮の特色をあげると、北海道は澄まし汁仕立ての汁に、サケの切り身とすじこをいっしょに加え、ハクサイを用いる。切り餅の白さとサケの赤みの対照がいい。秋田、山形の雑煮にはすじこを入れ、焼き豆腐を短冊形に切って加える。つきたての餅を水に浸して水餅にし、必要に応じて取り出して使う。東北地方で異色の雑煮は仙台のものである。ハモの焼き干し、削りかつお、干しタコの三つを用いてだしをとるが、簡単な方法としては焼き干しのハゼを用いる。ゴボウ、ダイコン、ニンジンに特産の仙台ハクサイを入れてつくる。福井の雑煮は薄切りのカブを葉とともに加えるのが特色で、古くはみそ仕立てであったが、いまは澄まし汁仕立てのものもある。
 名古屋の雑煮は、高名に通じるの意からタカナを用いる。奈良の雑煮はみそ仕立てで、のし餅の角切りを焼いて加える。広島の雑煮は澄まし汁仕立てで、汁の濁るのを嫌う。名産のカキを用いることもあるし、ブリの切り身を使うこともある。山口の雑煮は澄まし汁仕立てで、小餅を焼いて加え、大きいブリの切り身をゆでて用いる。これにサトイモ、白髪(しらが)昆布を少々加えるのが特色といえる。四国では、香川県高松の餡(あん)入りの丸餅雑煮が風変わりである。愛媛県の松山では、小判形の餅を焦げないように焼いて入れ、ミズナを加えて澄まし汁仕立てにする。
 九州では博多(はかた)の雑煮が変わっている。椀(わん)に大きな切り餅と塩ブリの切り身が入り、椀の底には輪切りのダイコンが敷いてある。熊本ではスルメと昆布のだしで澄まし汁仕立てにし、焼き豆腐、ダイコン、ニンジン、ゴボウに湯煮した丸小餅を用いる。鹿児島では干しエビをだしに用いるので、12月に入ると各戸の前に正月用のエビを乾燥させているのをみることができる。長崎の雑煮はお鰭(ひれ)吸い物といって、タイの切り身やクルマエビ、ナマコなどが入る豪華なものである。雑煮は全国それぞれの特色があり、各戸でも多少の相違はあるが、消化がよく栄養価の高いものが多い。[多田鉄之助]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

世界大百科事典内の雑煮の言及

【正月】より

…中国でも大晦日に先祖の霊を迎える例があり,これが新年の行事の重要な要素であった可能性は大きい。 大晦日の夜の年越しそばや元日から三が日の朝の雑煮など,新年の行事には特定の食物を食べる習慣がある。大晦日の夕食に添える年取り魚も顕著な例である。…

※「雑煮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

雑煮の関連キーワード落ち着き雑煮・落着き雑煮削り掛けの神事長崎はくさい博多金時人参青身だいこん口食うて一杯祝だいこんあん餅雑煮羹箸・羮箸保臓・烹雑搗き入れ喜の字屋白朮参り朝熊小菜西京みそ青身大根かつお菜餡餅雑煮博多雑煮結び昆布

今日のキーワード

大義

1 人として守るべき道義。国家・君主への忠義、親への孝行など。「大義に殉じる」2 重要な意義。大切な事柄。「自由平等の大義を説く」...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

雑煮の関連情報