デジタル大辞泉
「女郎」の意味・読み・例文・類語
じょう‐ろ〔ヂヨウ‐〕【▽女▽郎】
《「じょろう」の音変化》
1 遊女。おいらん。
「―の寝巻姿よろしく」〈逍遥・当世書生気質〉
2 おんな。女性。
「―のお子は兎角爺親の可愛がるものさ」〈滑・浮世風呂・二〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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じょ‐ろうヂョラウ【女郎】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- [ 一 ]
- ① 若い女。女子。また広く、女性。
- [初出の実例]「一つ舞せられて被下い。〈略〉鎌倉の女郎は、すす竹のつめたに」(出典:虎寛本狂言・比丘貞(室町末‐近世初))
- [その他の文献]〔木蘭辞〕
- ② 植物「おみなえし(女郎花)」の異名。
- [初出の実例]「花色如二蒸粟一。俗呼為二女郎一」(出典:本朝文粋(1060頃)一・詠女郎花〈源順〉)
- [ 二 ] ( 「じょうろう(上臈)」の変化した語という )
- ① 貴族や大名の奥向(おくむき)に勤める女性。
- [初出の実例]「此殿様へ浄るり大夫〈一鉄〉 女郎客簾中ふかく入給ふ〈在色〉」(出典:俳諧・談林十百韻(1675)下)
- ② あそびめ。遊女。娼妓。
- [初出の実例]「端女(はしおんな)まで女郎(ヂョラウ)といひ来りぬれば、只傾城の通称として、女郎といはんに子細有るまじ」(出典:評判記・色道大鏡(1678)一)
- [ 2 ] 〘 接尾語 〙 女性の名前につけて、その人に対する軽い敬意や親密の情を表わす。
- [初出の実例]「これ申しお藤女郎、むかひに来ましたお帰りなされ」(出典:浄瑠璃・堀川波鼓(1706頃か)上)
女郎の補助注記
身分の高い人をいう「上臈」から「女臈」「上郎」に転じ、さらに「女郎」となったもの。
め‐ろう‥ラウ【女郎・女童】
- 〘 名詞 〙
- ① 女の子。少女。童女。めのわらわ。めろ。
- [初出の実例]「下女をいふ詞にめらう如何。答女童。めのわらはなり。中のわ反りてな也。めならはをめらはと云也」(出典:名語記(1275)八)
- 「女房の女童(メラウ)ぐして、西へ行しを」(出典:雑談集(1305)三)
- ② 女をののしっていう語。めろ。
- [初出の実例]「小町と云めらふが歌は、なよなよとよむ。女の歌なればなり」(出典:俳諧・やつこはいかい(1667))
- 「サアめらうめ、そこ立たぬかとねめつけられ」(出典:浄瑠璃・源氏冷泉節(1710頃)上)
- ③ 人につかわれる身分の低い女。めろ。
- [初出の実例]「さうじて婦人のめらうにつかわるるやうにはすまいと云心か」(出典:玉塵抄(1563)九)
女郎の語誌
( 1 )「めわらわ(女童)」の転じた「めらわ」が更に形を変えて成立した語。近世には「めろ」ともなる。元来は「童女」を意味したが、室町時代には「めろうの腐ったような」という表現も生まれ、女性をののしっていう語へと変化する。「若い男」を意味する「やろう(野郎)」が、男性をののしっていう語へと変化したのと似ている。
( 2 )「やろう(野郎)」とは語源的には共通性はないが、たまたま「━ろう」を構成部分としてもつので、対で意識され、意味の変化に伴って、表記も「女童」から「女郎」へと変わったものと思われる。
じょう‐ろヂョウ‥【女郎】
- 〘 名詞 〙 ( 「じょろう(女郎)」または、「じょうろう(上臈)」の変化した語か )
- ① 若い女。また、女。女性。
- [初出の実例]「女臈(ジョウロ)のお子は兎角爺親(てておや)の可愛がるものさ」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)二)
- ② 遊女。娼妓。
- [初出の実例]「むかしの誰とかいふ女郎(ヂョウロ)が通人とは廓へ這入(へゑ)らぬ人を通人といふ」(出典:滑稽本・浮世床(1813‐23)初)
め‐ろ【女郎】
- 〘 名詞 〙 「めろう(女郎)」の変化した語。
- [初出の実例]「きり疵か夜なきの枩に泣懸り あはれすて子やめろであるらん〈友雪〉」(出典:俳諧・二葉集(1679))
- 「但しもふ金はふけらしたか、連れのめろからせんさく」(出典:浄瑠璃・義経千本桜(1747)三)
じょ‐ろヂョ‥【女郎】
- 〘 名詞 〙 「じょろう(女郎)」の変化した語。
- [初出の実例]「女ろの子は願以至功徳かいの」(出典:雑俳・湯だらひ(1706))
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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女郎
じょろう
売春婦の古称の一つ。もとは女子の俗称であったが、江戸時代に遊女の別称となった。近世初期に遊女を「上らう」と記す例が多く、これを宮廷の上﨟(じょうろう)と関係づける付会説もあるが、下級妓(ぎ)の娼家(しょうか)も「上らう屋」であって、単なる記載上の雅言と考えられる。元禄(げんろく)時代(1688~1704)には、原義の女子をいう意味と遊女との二つの女郎が併存していたが、おもに江戸を中心に遊女の総称として使われるようになった。ただし、封建的階級制度により太夫(たゆう)、格子(こうし)、御職(おしょく)、囲(かこい)、端(はし)女郎、散茶(さんちゃ)などに分かれていた遊女の全部を包括したとはいえず、江戸の花魁(おいらん)には尊称の要素があるため女郎は花魁より下格のものに限る場合もあった。しかし、密淫売(いんばい)婦との区別を含めて、その概念は明らかでない。京坂では遊女の別称として「おやま」を用いたが、これも対象などはあいまいである。なお、「京女郎」のように本来の語義が残っている用例もある。
[原島陽一]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「女郎」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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