楽得別符(読み)らくとくべつぷ

日本歴史地名大系 「楽得別符」の解説

楽得別符
らくとくべつぷ

巨瀬こせ川左岸、近世五名ごみよう村域に楽得の小字が残る。観応三年(一三五二)書写の安楽寺領注進状に筑後国の半不輸領の一つとして「楽得別府」がみえる。楽得名が近接する安楽寺(太宰府天満宮)綾野あやの庄の別納地として別符化したものと思われる。注進状には「凶徒致違乱」と注記されている。正平一三年(一三五八)六月、征西府は安楽寺別当の訴えを受けて、草野長門権守に楽得別符における馬渡助房の神用米難済の一件を調査することを命じている(同月二九日「征西将軍宮令旨」太宰府天満宮文書/南北朝遺文(九州編)四)。すでに麦生越後介に調査させたが報告がないので、再び草野氏を派遣したもので、同一五年六月、征西府は安楽寺別当の主張を認め、その所領・所職を安堵した(同月二九日「高辻道准奉書」同文書/南北朝遺文(九州編)四)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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