…千葉省三は《虎ちゃんの日記》(1925)をはじめとする一連の作品で,酒井朝彦は〈木曾もの〉と呼ばれる作品で,郷愁と結びついたリリシズムを描き,また坪田譲治は〈善太・三平もの〉でリアルな児童像を造形して,それぞれにこの時期を代表している。 小川未明や秋田雨雀をさきがけとして社会性のある主題は児童文学のものになってきたが,それを決定的なものにしたのは昭和初年のプロレタリア児童文学運動で,槙本楠郎,猪野省三,川崎大治たちが活躍した。マルクス主義陣営からの批判は,未明童話をもふくめて童心主義の非社会性と超階級性に徹底的に向けられた。…
※「槙本楠郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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