デジタル大辞泉
「標準必須特許」の意味・読み・例文・類語
ひょうじゅん‐ひっすとっきょ〔ヘウジユンヒツストクキヨ〕【標準必須特許】
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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知恵蔵
「標準必須特許」の解説
標準必須特許
IT分野の業界団体などが一定の技術を標準化・規格化したとき、この規格に準じた製品の製造や販売をする上で使用せざるを得ない特許「SEP(Standard Essential Patent)」のこと。
特許は、発明者の独占権を認める代わりに、発明者の技術などが公開され、ライセンス料を払えば、発明者以外が利用できる。標準化は、技術の統一化や単純化を図り、技術を広く普及させることを目的としている。どちらも技術革新のために重要なものであるが、標準化を進める上で使わざるを得ない特許があり、その特許権を所有する別の企業が存在する場合には、標準化に取り組む複数の企業と特許権を持つ企業の間に標準必須特許を巡る紛争が発生する。この結果、標準化が妨げられたりコストの上昇につながったりする。
過去にはコンピューターメーカーが、標準化を進めるためには自社の特許が必須であることを隠して開示せず、標準規格の制定後に、特許の有償実施許諾を強要するという問題が発生した。この問題は、特許の許諾を強要した企業の該当特許権の行使を放棄させるということで解決した。標準必須特許を巡る紛争は、これまで主に通信業界や電機業界に限られていた。しかし、近年のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の普及に伴い、家電製品、自動車、医療機器など、様々なモノがインターネットを介してつながるため、今後は我々の生活を支える社会インフラの標準化と、それらにかかわる様々な企業が、標準必須特許に直面する可能性が生じている。
これらの懸念事項を踏まえ、特許庁は、2018年6月に「標準必須特許のライセンス交渉に関する手引き」を公表した。この手引きは、標準必須特許のライセンスに関し、透明性や予見可能性を高め、特許権者と標準化実施者との間の交渉を円滑化し、紛争の未然防止や早期解決を目的としている。この手引きは法的な拘束力はないものの、特許権者が標準化実施者に警告を送付して、すぐに差止請求訴訟を起こしたり、標準化実施者に対して明らかに不合理な条件を最初から提示したりなどといった行為については、不誠実と評価される方向に働く可能性があるなどと、具体的な判断事例が留意点として挙げられている。
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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