朝日日本歴史人物事典 「歌川国虎」の解説
歌川国虎
江戸後期の浮世絵師。俗称前田久米蔵,あるいは繁蔵。一竜斎と号した。初代歌川豊国の門人で,師の晩年は身近に侍して代作も行い,師の没後は兄弟子国貞の代作をも務めたという。生涯自宅を構えず,知人親類宅に寄寓し,安政(1854~60)ごろに60歳余で没した。自身の署名を有する錦絵や挿絵は少ないが,「近江八景」「羅得島湊紅毛船入津之図」などの洋風風景版画に見るべきものがある。<参考文献>坪内逍遥『芝居絵と豊国及其門下』,鈴木重三「豊国」(『浮世絵大系』9巻)
(大久保純一)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報