正木氏(読み)まさきうじ

改訂新版 世界大百科事典 「正木氏」の意味・わかりやすい解説

正木氏 (まさきうじ)

安房を本貫とする中・近世武家。里見氏の宿将。相模国三浦氏の支族。15世紀末,三浦時高の実子時綱が,時高養子三浦義同(よしあつ)に追われて安房国に逃れ,平群(へぐり)正木郷(館山市那古町正木)に隠れ,里見氏の保護を受けたのに始まる。里見義通は妹を時綱の室とし,正木郷と長狭の地を与え,山之城(鴨川市嶺岡東牧)に居らせた。時綱の次男時茂は1534年(天文3)里見義尭(義通の甥)をたすけて義豊(義通の子)を滅ぼし,国府台(こうのだい)合戦にも出陣して武名をあらわした。一方時綱の三男時忠は義尭・義弘父子の部将として活動し,やがて安房東部と上総東部の夷隅郡が正木氏の勢力圏に入った。1590年(天正18)里見義康の上総国没収にともない,正木氏も上総国を去り,里見義頼の子で正木氏の名跡を継いだ上総大多喜城主時尭は館山城下,頼忠(時忠の五男)は長狭郡に移り住んだ。1614年(慶長19)里見氏改易のとき,時尭は里見忠義に従い伯耆国倉吉に移り,子孫は池田氏に仕えた。一方頼忠系の正木氏は紀州徳川氏の臣となった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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