歩寄(読み)あゆみよる

精選版 日本国語大辞典 「歩寄」の意味・読み・例文・類語

あゆみ‐よ・る【歩寄】

〘自ラ五(四)〙
① 歩いて近寄る。互いに近づき合う。
※平中(965頃)一七「かかりければ、この男、をかしきやうに思ひて、あゆみよりてあれば」
源氏(1001‐14頃)東屋「障子をいとみそかに押しあけ給ひて、やをらあゆみより給ふも」
意見主張などを互いに譲歩する。折り合いをつける。
天国記録(1930)〈下村千秋〉一一「さう言はずに、何とか歩み寄ったらどうだね。千倆もちと高えやうだが、百両もあんまり可哀相だね」
双方の取引値段が次第に寄りつく。双方の値段が折り合う。〔取引所用語字彙(1917)〕

あゆみ‐より【歩寄】

〘名〙
① 互いに歩いて近寄ること。
条件や主張、意見などを近づけ合うこと。折り合いを付けること。あゆみあい。
芸術運動に於ける前衛性と大衆性(1929)〈勝本清一郎〉「無論この両方からの歩みよりの運動から脱落してゆくべき芸術現象も沢山あるに違ひない」
③ 取引相場で、双方が折れ合って売買の取りきめをすること。あゆみあい。

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