死出の山(読み)シデノヤマ

デジタル大辞泉 「死出の山」の意味・読み・例文・類語

しで‐の‐やま【死出の山】

人が死後に行く冥途めいどにあるという険しい山。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「死出の山」の意味・読み・例文・類語

しで【死出】 の 山(やま)

  1. 死後、越えて行かなければならない山。冥途。また、十王経に説かれる地獄にある険しい山。
    1. [初出の実例]「しでの山ふもとを見てぞ帰りにしつらき人よりまづこえじとて〈兵衛〉」(出典:古今和歌集(905‐914)恋五・七八九)

死出の山の語誌

( 1 )「十王経」に「閻魔王国境死天山南門、亡人重過、両基根逼、破膝割膚、折骨漏髄死而重死、故曰死天、従此亡人向入死山」とあり、「死天山」から出た語といわれる。これによれば、閻魔王国との境に死天山の南門があり、死者はこの山に行きかかり、さらに死を重ねるほどの苦しみにあうという。ちなみに、この「十王経」は偽経であり、日本で作られたものと考えられている。
( 2 )古今和歌集」以来、「しでの山」は、「あの世」と「この世」とを隔てる山として理解されており、やはり両者を隔てる川「みつせ川(三途川)」とともに、しばしば「又かへりこぬ四手(シデ)の山(ヤマ)、みつ瀬川」〔平家‐六〕のように並べて用いられる。

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