水オルガン(読み)みずオルガン(英語表記)water organ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「水オルガン」の意味・わかりやすい解説

水オルガン
みずオルガン
water organ

水力を利用して鳴らすオルガン装置。古くはアレキサンドリアヘロンと古代ローマの M.ウィトルウィウスの著作にみられ,水の力で空気を種々の長さのパイプに送り,鍵盤開閉することで音を出すものであった。庭園内に完全な自動機械として採用したのは,イタリアのビラ・デステが最初であり,1568年以降にフランス人の水力技師,C.ベナールが水オルガンを設計,施工し,水が装置内の空気をパイプへと押出すとともに,同時に水が自動的に各パイプの開閉を行なって,2本のトランペットによる吹奏が行われる仕組みをつくった。この装置は破風をあげた神祠の中に隠され,前面にはディアーナ女神の像が配された。水オルガンを演奏した水ははるか下方のカスケードを飛び散り,耳と目の双方を楽しませる仕掛けであった。たちまち評判となり,フランスの技師であり建築家のソロモン・ド・コーがその著『動力の原理』で詳しく紹介したことで,ヨーロッパ各地に広まった。またビラ・デステでは,水を用いて鳥などの動作に合せて鳴き声を発する装置も開発され,同様にヨーロッパ中に普及した。

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