改訂新版 世界大百科事典 「水産事項特別調査」の意味・わかりやすい解説
水産事項特別調査 (すいさんじこうとくべつちょうさ)
明治20年代半ばまでの農商務統計表では,水産製造物以外はほとんどとらえていない未熟な水産統計しか示されていなかったが,農商務省は1892年(明治25)11月に訓令第33号を布達し,道府県に命じて水産事項特別調査を実施させた。これは1891年の状態を把握した一回限りの調査であるが,戦前においては画期的大調査であった。その調査結果は《水産事項特別調査》(1894年3月刊)という大冊で刊行され,漁業生産,水産加工,水産物流通にかかわる重要事項が網羅されている。その成果は現在まで明治期の水産に対する重要な史料であり,当時の水産業の実態把握には,おそらく大変な役割を持ったものであろう。また94年からの農商務統計表における水産統計の改善にも役だったものとみられる。
執筆者:二野瓶 徳夫
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