改訂新版 世界大百科事典 の解説
水素化アルミニウムナトリウム (すいそかアルミニウムナトリウム)
sodium aluminium hydride
化学式NaAlH4。おそらく対応するリチウム塩と同じく,テトラヒドリドアルミン酸塩の構造をもつものと思われる。水素化ナトリウムNaHとアルミニウムを水素気流中で反応させて合成する。水素化アルミニウムリチウムとほぼ同じ還元力を有するが,高価であるため使用されることは少ない。エステルを還元してアルデヒドをつくる。
テトラヒドロフランやグライム(1,2-ジメトキシエタン)に溶ける。窒素中220℃に加熱すると分解してNa3AlH6を生ずる。
3NaAlH4─→Na3AlH6+2Al+3H2
これはナトリウムとアルミニウムのトルエン溶液を350気圧の水素下165℃に加熱しても得られる。260~280℃で分解,ふつうの有機溶媒に不溶。水などプロトンをもつ溶媒と激しく反応する。
執筆者:水町 邦彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報