日本大百科全書(ニッポニカ) 「永嘉玄覚」の意味・わかりやすい解説
永嘉玄覚
ようかげんかく
(?―713)
中国、初唐の僧。字(あざな)は明道。諡号(しごう)は真覚(しんがく)大師、無相(むそう)大師。浙江(せっこう)省温州(おんしゅう)府永嘉(ようか)県の生まれ。幼少で出家して三蔵を学び、とくに天台止観(てんだいしかん)の法門に優れていた。左渓玄朗(さけいげんろう)(673―754)の勧めで曹渓(そうけい)の禅宗第六祖慧能(えのう)に参じ、問答を交わして印可(いんか)を受けて一泊した。そのために、人々は彼を一宿覚(いっしゅくかく)と称したという。のちに温州へ帰って法門を開き、その名は広く知られた。713年(開元1)没。著作に『禅宗永嘉集』『證道歌(しょうどうか)』などが知られる。中国の初期禅宗と天台との交渉を示す地位にあり、天台禅の人とされる。
[椎名宏雄 2017年4月18日]