精選版 日本国語大辞典「問答」の解説
もん‐どう ‥ダフ【問答】
〘名〙
① 問うことと答えること。問と答。また、言いあうこと。議論しあうこと。
※万葉(8C後)四・六六七・左注「聊作二戯歌一以為二問答一也」
※義経記(室町中か)五「御辺達はこれにて敵のもんだうをせよ」
② 仏語。
(イ) 法義の意味などを論じあうこと。特に、禅宗では、修行者が疑問を師家に問い、師家がこれに解答すること。問酬(もんしゅう)ともいう。
※古事談(1212‐15頃)三「住果の縁覚仏所へは至哉と被問答有けるを、上人聞給て」
(ロ) 宗論や論議などのこと。大原問答・安土宗論などの類。
③ 指導を受けること。疑問点などを問いただして教示を受けること。
※為兼和歌抄(1285‐87頃)「稽古に力入る人も、才学を好み、義を案じもちてばかり問答をする時」
④ 中世の民事裁判で、訴人(原告)と論人(被告)が、裁判所を通じそれぞれ訴状と陳状(答弁書)を交換しあい、主張を行なうこと。三回まで行なうことができ、これを三問三答(三問答)という。また、この三問三答で決着のつかないときに、訴論人を引付の座(法廷)に呼び出して尋問すること(引付問答)をもいう。また広く訴訟一般をさしてもいう。問注。問陳。
※沙汰未練書(14C初)「問答之後、訴論人共有二所存一者重遂二問答一、是を覆問と云」
⑤ 江戸時代、大名・旗本などからの、幕府奉行所への裁判や民政についての問い合わせと、これに対する奉行所の答(挨拶)のこと。
⑥ 「もんどうか(問答歌)」の略。
※万葉(8C後)一〇・一八四二・左注「右二首問答」
[補注]中世には、四段に活用させた動詞「もんだふ」が見られる。→もんだう(問答)
もん‐だ・う ‥ダふ【問答】
〘他ハ四〙 (「もんどう(問答)」の動詞化) 問答する。論ずる。
※三道(1423)「此問答に、又老人夫婦など、事の謂はれを問答いて、云開く事あり」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報