日本大百科全書(ニッポニカ) 「河間献王」の意味・わかりやすい解説
河間献王
かかんのけんおう
生没年不詳。中国、漢(かん)の景帝(けいてい)の第3子。姓は劉(りゅう)、名は徳(とく)。献王の献は諡号(しごう)、王は封称(ほうしょう)。学問、なかでも古文を好み「実事求是」をモットーとした。善書を探してはこれを筆写し、真本を手元に置き、複本に金帛(きんぱく)を添えて返した。国中の学者は、喜んで先祖の旧書を献上した。集めた書は先秦(しん)古文の旧本が多く、『周官』『尚書』『礼経』『孟子(もうし)』『老子』や、『毛詩』『左氏伝』などがあった。礼楽の徒であり、衣冠、起居動作、いついかなるときにも儒者の風を持し、山東の儒者の思慕するところとなった。のちに武帝の策問にたちどころに答え、帝の感情を損ない、帰国後は飲酒逸楽し生を終えた。『論語』河間七篇(へん)本は『論語』のもっとも古い形とされる。
[大久保隆郎 2016年1月19日]