油手・脂手(読み)あぶらで

精選版 日本国語大辞典 「油手・脂手」の意味・読み・例文・類語

あぶら‐で【油手・脂手】

〘名〙 (「あぶらて」とも)
① (油手) 油のついた手。油でよごれた手のひら
※俳諧・深川(1693)深川夜遊「祝ひ日の冴(さへ)かへりたる小豆粥(あづきがゆ)〈岱水〉 ふすま掴(つか)むで洗ふ油手(あぶらて)嵐蘭〉」
② (脂手) 脂性の人の手、または手のひら。あぶらぎった手。あぶらって。
※落語・猫の忠信(1897)〈六代目桂文治〉「恐ろしい、まー…油手(アブラテ)だな。巫山戯(ふざけ)やがって。手前(てめへ)は毛無垢(けむく)ぢゃらの手だな」

あぶらっ‐て【油手・脂手】

〘名〙 (「あぶらて」の変化した語) =あぶらで(油手・脂手)
滑稽本浮世風呂(1809‐13)四「お鉄さんは脂掌(アブラッテ)だから、手(てヱ)ひかれてもねばねばするは」

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