津波避難(読み)つなみひなん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「津波避難」の意味・わかりやすい解説

津波避難
つなみひなん

津波を避けて安全な高台に避難すること。津波が襲う危険性の高い沿岸低地部の住民は、津波警報が発令されたと同時に速やかに避難しなければ、津波にのまれて命を落とす可能性が高い。しかし、津波避難ビル、津波避難タワーなどの指定や整備が進んでいない自治体も多い。また津波避難施設など避難場所の指定が行われている場合にも、そこに至る道路や橋などの経路整備が課題として残っているケースも目だつ。国と自治体は公共工事予算を増額し、津波対策を進めている。

 公共工事以外の避難対策も進んでいる。そもそも街中にいると、「自分が今いる場所は海からどれくらい離れているのか、海抜はどれくらいあるのか」という基本的な情報がわからないことも多い。そこで交番、駅、公共施設、電柱などに海抜や海からの距離を明記する自治体が増えている。さらに、過去の津波の痕跡(こんせき)や石碑などを見直し、地域教育へと役だてる動きも進んでいる。津波の浸水予想地域や避難経路を記したハザードマップを用意し、具体的な津波避難計画に取り組む自治体も多い。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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