大学事典 「海外キャンパス」の解説
海外キャンパス
かいがいキャンパス
世界的な定義では,本校所在の外の国に設置され,学位を授与する大学施設を指す。アメリカ合衆国や日本の大学が自校の学生向けに外国に用意した施設はその条件を満たさない。1995年のWTOによる貿易自由化のサービスへの適用以降,本格的に増加した海外キャンパスは,2013年には169校を数え,設置国別では合衆国の80校,イギリスの19校,オーストラリアの14校,受入れ国別ではアラブ首長国連邦の34校,シンガポールの15校,中国の12校,カタールの10校の順で続く。世界大学ランキング上位の西欧諸国が,富の蓄積が顕著であったり,生産活動の活発な地域に設立している。インドの8大学がアラブ首長国連邦へ進出している例も目立つ。世界の大学のアングロ・サクソン型化や過度の商業化が懸念されている。他方,イェール・シンガポール国立大学(シンガポール)(Yale-NUS College)のような,世界に通用する新型の大学教育創出の試みも海外キャンパスの背景の一部をなす。
著者: 立川明
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報