深々(読み)しんしん

精選版 日本国語大辞典 「深々」の意味・読み・例文・類語

しん‐しん【深深・沈沈】

  1. [ 1 ] 〘 形容動詞ナリ活用タリ 〙
    1. 奥深く静寂なさま。ひっそりと静まりかえっているさま。森森(しんしん)
      1. [初出の実例]「冥々として人もなく、行歩(かうほ)に前途まよひ、深々として山ふかし」(出典平家物語(13C前)二)
      2. 「しんしんと梅散かかる庭火哉〈荷兮〉」(出典:俳諧・曠野(1689)八)
      3. [その他の文献]〔荘子‐大宗師〕
    2. 寒さ、痛みなどが、身にふかくしみとおるさま。
      1. [初出の実例]「しんしんと心底寒し新坊主」(出典:俳諧・七番日記‐文化一四年(1817)八月)
      2. 「夜の温度のしんしんと降下しつつあるのを感じた」(出典:土(1910)〈長塚節〉一七)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙 [ 一 ]に同じ。
    1. [初出の実例]「僕はこごえて佇(た)ってます なにかしんしんしてきます」(出典:童謡・クリスマスの晩(1933)〈北原白秋〉)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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