深沢勝幸(読み)ふかざわ・かつゆき

朝日日本歴史人物事典 「深沢勝幸」の解説

深沢勝幸

没年元禄7.7.16(1694.9.5)
生年:慶長17(1612)
江戸前期,肥前国大村(長崎県)の捕鯨家。九州における捕鯨網組(網絡法)の創始者。2代目儀太夫。肥前武雄から転住して大村藩主に仕えた初代勝清は,武術修行中紀州熊野で見聞した捕鯨突組(銛による突取法)を帰郷後に組織。その継承者が勝幸。当時,「鯨一頭,七郷の賑い」といわれ,収益の大きな事業であった。貞享1(1684)年紀州出身の古座屋3代目次郎右衛門重実を伴い,延宝5(1677)年に熊野太地浦の太地角右衛門によって案出された網絡法を見聞伝習したのち帰国し,平戸松浦藩領壱岐勝本浦で捕鯨網組を始めた。この方法は肥前の海民を通じて長州島戸浦,通浦に,さらに五島にも伝播した。勝幸は他に溜池新田の開発も行い,長崎出島や大坂中ノ島で交易,商業取引にも従事した。<参考文献>『長崎県東彼杵郡誌』

(田島佳也)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「深沢勝幸」の解説

深沢勝幸 ふかざわ-かつゆき

1612-1694 江戸時代前期の捕鯨業者。
慶長17年生まれ。父勝清の跡をつぎ儀太夫2代を名のり,肥前五島(長崎県)で捕鯨をおこなう。紀伊(きい)太地(たいじ)でまなび,九州に網による捕鯨法をつたえた。父とともに,野岳湖築造に対する資金援助など地域振興にもつくした。元禄(げんろく)7年7月16日死去。83歳。

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